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石楠花物語小学校時代
怪我と病
同・校庭
   麻衣、磨子、健司が遊びながら帰っていく。麻衣と健司、磨子は意図も簡単に鞄を背負ったまま木に上る。磨子、麻衣は割りと高い木の枝から飛び降り、健司も飛び降りる。

健司「ううぅっ、」
麻衣「健司?どーしただ?」
健司「腕痛いよぉ!!痛いよぉ!!」

   泣き出す。

健司「お母さんーっ、痛いよぉ!!」
磨子「どうしたのよちょっとっ、」

   麻衣、健司の鞄を持つ。

麻衣「いいに、これは私があんたの家まで持ってくで…」

   健司は泣きながら、麻衣と磨子は其々に健司の荷物を持ちながら歩いていく。


岩波家
   幸恵が出てくる。

幸恵「あら健司、お帰り…ちょっと一体どうしたの?」

   麻衣と磨子を見る

幸恵「何かあったの?」
麻衣「健司くん、木から落ちて怪我しちゃったみたいなんです。」
磨子「さっきからずっと腕が痛いって…」
幸恵「分かったわ、ありがとう…健司、とりあえず中に入りなさいっ、」

   泣く健司を抱くように家の中に入れる。

麻衣「健司、どーしちまっただら?」
磨子「さぁ…ね。」

   二人、喋りながらならんで歩いていく。


宮川長峰小学校・教室
   健司が右腕を吊って入ってくる。

健司「おはようございます…」
全員「おはようございます…」
麻衣「ちょっと健司っ?腕っ!!」
磨子「ほんねに悪かっただ?」
健司「骨折…」 
泉平先生「んまぁ、一体何があったの?大丈夫?」

   麻衣と磨子、事情を話し出す。

泉平先生「ほれは健司くん、鞄を背負ったまま木に登るだなんて、ちょっと君がいけないわね。」
健司「ごめんなさい…」
泉平先生「いいわ。」

   大声で

泉平先生「ではいいですね?健司くんが治るまでみんな、健司くんを助けてあげるんですよ。」
全員「はいっ。」


   授業、給食、掃除など、健司、みんなに助けられながらやっている。


   (七月の始め)
   健司、包帯も取れてすっかり完治している。麻衣と磨子が来ていない。

健司「あれっ?」


京都の小学校・教室
   田夢美代、清原元助、園原宗一郎がいる。千里が来ていない。

美代「あら、千里ちゃんは?」
清原「さぁ?」
園原「僕も今日は見ていないよ…」


   熊井先生が入ってくる。

熊井先生「はいっ、みんな席について。」


宮川長峰小学校・教室
 
泉平先生「今日は、柳平麻衣ちゃんは」


熊井先生「小口千里君は、」


熊井先生、泉平先生「水疱瘡にかかってしまい入院をしてしまいました。」


   各々のクラスの生徒、とても驚く。


柳平家・和室
   麻衣がぐったり。

紅葉「麻衣、少しは何か食べなくちゃ」
柳平「ジュース飲むか?」
麻衣「いらない…」
柳平「これは病院に連れていった方がいいかもな…」
紅葉「そうね…」


   軈て、救急車が来て、麻衣が運ばれていく。


   一方、小口家の千里も珠子の車に乗せられて連れて行かれる。


諏訪中央病院
   麻衣、治療室でぐったり。

紅葉「麻衣?ちょっと麻衣っ?」
麻衣「母さん…」

   吐いてしまう。看護婦たちも驚いて急いで点滴などをしている。


京都の病院・待合室
   ぐったりとした千里が珠子に抱かれている。

珠子「せんちゃん?せんちゃん、大丈夫?」

   近くには小さな子もいる

女の子「お姉ちゃん?大丈夫?」
千里「僕は…お姉ちゃん…じゃなくて…お兄ちゃん…だよ。」

   珠子、クスクスしながら絵本を読んであげてる。

女の子のお母さん「本当に、申し訳ありません。」
珠子「いいえ、いいんです。大丈夫ですよ。」

   本を閉じる

珠子「はいっ、おしまい。せんちゃん、次の本なんか読むか?」
千里「うん…」

   ぐったりしながらも体を動かしてばかり

千里「ママ…気持ち悪いよ…」

   直後、やはり吐いてしまう。

 
   麻衣と千里、治療を受けてから点滴をされて各々の病室で横になっているがその間にも何度も吐いてしまっている。二人とも、二人部屋に入っている。


京都の病院・病室
   ベッドに横たわる千里、珠子、小口、源洲子、源夕子

夕子「千里は、一体どうしたんだい?」
洲子「千里ちゃん、分かるかい?どうしたの、洲子おばさんですよ。」
夕子「入院をするって事かい?病名は?何なんだい?」


諏訪中央病院・病室
   麻衣がベッドに横たわる。紅葉、柳平。

柳平「で、この子の病名はなんだい?入院をする程悪いだなんて…」
紅葉「それがね、」



珠子「それはね、」


珠子、紅葉「水疱瘡によって酷い脱水症状を起こしているんですって。」


柳平、洲子、夕子「脱水症状をだって?」


麻衣「ほんねに心配せんでよ…」

   弱々しく微笑む

麻衣「私は大丈夫だに。」


千里「ねぇ、ママ…パパ…僕の病気ってそんなに悪いのかなぁ?僕、もう死んじゃうの?余命はあとどれくらいなの?」

夕子「バカだねぇ、死ぬわけないだろう!!まぁ、病院にも来ないで放っておきゃ危なかったかも知れないけどね…」

   千里、不安げに聞いている。

夕子「余命なんてないよ、なぁーにお前はただの脱水症状だとよ。点滴をすりゃよくなるってお医者さんも言ってたよ。」
千里「本当に…?」
夕子「あぁ、勿論だとも。」
千里「良かった…」
 
   微笑んで目を閉じるが、またすぐに目を開く

珠子「どうしたのせんちゃん、眠いのなら寝ていいのよ。」
千里「うん…でも、」

   もぞもぞ

千里「おしっこしたい…」
珠子「良かったせんちゃん、点滴が聞いてきたのかしら?」
千里「ずっとお家にいるときから我慢してる…」

   夕子、珠子、ゆっくりと千里を起こす。

珠子「おトイレまで歩いて行かれる?」
夕子「あ、そういえばさっき看護婦さんがあれを置いていってくれたね。」


諏訪中央病院・病室
   麻衣、割りと回復している。

紅葉「麻衣、どう?」
八重子「麻衣、」
麻衣「姉さん…」
八重子「んもぉ、心配したわよ!学校から戻ったらあんたが入院したなんて聞かされてさ。」
正三「全く、ほーだよ。ん、」

   紡、糸織が影から顔を出す。

麻衣「つむっ、しおっ!!」
紡「私もうんと心配しただに。」
糸織「学校でも先生が柳平麻衣は入院したって…」
紡「今度、湯田坂先生がお見舞いに来るってよ。」
麻衣「ふんとぉー?」

   微笑む

麻衣「ううっ、」
紡「麻衣っ!?」

   背を擦る。麻衣、入れ物の中に吐く。

麻衣「ふうっ…」


   (一週間後)
   麻衣、ご飯を食べている。そこへ磨子、健司、悟。

麻衣「あ!!」
磨子「麻衣ちゃん!!」
健司「おいおい、大丈夫かよ。」
麻衣「健司こそ、手は?」
健司「俺?」

   手をぶらぶら

健司「見ての通り、へー治ってるよん。」
麻衣「良かった、」

   悟を見る。

麻衣「悟ちゃんっ!!」
悟「麻衣ちゃん、大丈夫か?少し良くなった?」
麻衣「えぇ。」
磨子「これ、」

   千羽鶴と手紙を渡す。

磨子「麻衣ちゃんに。みんなで書いたんよ。」
麻衣「うわぁー、ありがとう!!」

   読み出す。

健司「ほれと、これ。」
麻衣「何?」
健司「今日は大人になってからの夢を書いて教室に飾ったんだ。だで、麻衣の分。」
麻衣「へぇ、みんなは何て書いただ?」
磨子「私は、看護婦さんか女優さん。」
健司「俺は岩波の会社をお父さんの後を継ぐんだ。」
麻衣「へぇ…」
磨子「麻衣ちゃんは?へー決まってる?」
麻衣「私はねぇ?お父さんの様な警察官がいいわ。ほして、」

   悟を見る

麻衣「私は悟ちゃんのお嫁さんになるの。」
悟「僕の?」
麻衣「うんっ!!私、悟ちゃんのこん大好き!!悟ちゃんがお見舞いに来てくれてとっても嬉しい!!」
磨子「あ、いいなずるーいっ!!磨子も悟ちゃんのお嫁さんになりたい!!慣れなかったら最悪健司…」
健司「おいっ!!人を余りもんみたいに言うんじゃねぇーやい!!」

   悟、微笑む。

磨子「でも麻衣ちゃん、へーご飯も食べれるようになったんね。」
麻衣「えぇ、お陰様で。へー何でも食べれるに。」


京都の病院・院内
   千里、ストレッチャーに乗せられて運ばれている。

千里「ねぇ、今日退院なんでしょ?僕もう元気だよ。何でまた検査するの?」
珠子「せんちゃんは昔、脳の病気をしたでしょ?だから悪くないかもう一回調べるのよ。」
千里「そんなのもう遠の昔の事じゃないか!!」
珠子「現世での事です。」
千里「えぇ?…覚えないや?」
珠子「まぁ、どうして1000年も前の事は色々覚えていて現世に入ってからのつい数年前の事は覚えていないのかしら?」

   珠子、クスクスっと微笑む。千里は、検査室に入っていく。


同・検査室
   千里、頭に沢山ついた吸盤に夢中。

担当医「千里君、ちゃんといい子にしててちょうだい。」

   それを弄っている。


同・病室
   しばらくして千里、珠子と共に帰る準備をしている。

珠子「せんちゃん、やっと退院。良かったわね。」
千里「うんっ。」

   脳波の担当医、お手上げといったかおでやれやれと疲れきっている。

珠子「それでは…」
千里「うんっ。」

   二人、病院を出る。
  

宮川長峰小学校・教室
   麻衣が登校する。クラスメート全員が駆け寄る。

末子「あっ、麻衣ちゃんが来た!!」
横井「本当だ!!」
磨子「元気になったんだ!!」
健司「麻衣、お帰り!!」
末子「見てみて、私チューリップの球根見つけたんだよ!!麻衣ちゃんにあげるね。」
麻衣「わぁ!!ありがとう!!」


   一方の千里もクラスメートからの歓迎を受けている。

千里「みんなありがとうっ!!ありがとうね!!」


   数週間が過ぎていく。千里、熊井先生に手を焼かせてばかりいる。


京都の小学校・プール
   一年生がシャワーを浴びている。千里、恐る恐るシャワーを浴びるが、すぐに出る。

   消毒層にも入る。全員、震えながら。千里はやはりビクビク、恐る恐る。


   軈てプールサイドに上がって座り、先生の話を聞いている。陽が当たりだしているが千里はまだ震えている。

清原「千里君寒いの?大丈夫?」
千里「うん、…大丈夫…」
園原「風邪引いちゃあだめだよ。」
千里「うん、引かないよ…ありがとう…」

   座りながらももじもじ

千里(おしっこ…)

   美代、心配そうに千里を見る


   話が終わり、順番に班毎の泳ぎの練習。
 
美代「千里ちゃん、大丈夫?さっきからなんか変よ。」
千里「え、えぇ?大丈夫だよ…」

熊井先生「次の班っ!!入ってきて。」

   笛を吹く。

美代「千里ちゃん、」
千里「う…うん…」

   美代、千里、清原、園原が入って泳ぎを教わっている。

千里(おしっこしたいな…でも、プールのおトイレは何か使うの嫌だな…だって汚いって千草オッパが言ってたもん…)


   軈て、班は交代でプールから出る。千里、サイドに座りながらもじもじ。

美代「千里ちゃん、やっぱり千里ちゃん変よ。どうしたの?」
千里「美代ちゃん…」
美代「おしっこしたいの?」
千里「…うん…」

   足の間に手を入れて泣き出しそう

千里「もれちゃう…」

   美代、おどおどしてキョロキョロ。その内に千里がしくしく。

千里「おしっこもれちゃった…」
美代「千里ちゃん…」

   千里、次第に大泣き

美代「立てる?」

   千里を支えて立たす。またもれてしまい、更に大泣き。熊井先生が飛んでくる。

熊井先生「千里君っ?どうしたの?何かあったの?」
美代「先生っ、千里ちゃんが…」

   足元を見る

美代「おしっこ…」
熊井先生「あらあら…又、おしっこ我慢しちゃったのね。プールにもおトイレあったのよ。おしっこしたかったなら先生に言ってくれれば良かったのに。」

   泣き止まない千里の手を引いてシャワーを浴びさせてからプールを出て行く。


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