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石楠花物語小学校時代
初めてのお諏訪よいてこ

上川バイパス
   千里、マコ、真亜子、眞澄

千里「え、夏休み?」
マコ「そう、予定とかってもう決まってる?」
千里「うーん…そうだな、日にちはまだはっきりじゃないけど、数日の間京都の叔母さんのところへ行くってことと、学校でのチャボと鳩の世話だけはもう決まっているよ。みんなは?」
マコ「なら千里くん、7月の終わりは?」
千里「7月の終わり?」
真亜子「そう。もし君さえ暇なら諏訪よいてこ行かない?」
千里「諏訪よいてこ?何それ?」

   三人の女子たち顔を見合わせる。

眞澄「そうか。あのね、諏訪よいてこってのは諏訪市の夏祭り。その中にね、躍りがあるのよ。」
千里「ふーん?」
眞澄「その踊りを、私達は運動会で踊るから。」
千里「え、ええっ?」
マコ「でしょ?君は全然知らないでしょ?だから、焦らないように、少し練習がてら躍りにいかないかって誘ったの。」
千里「そうなんだ…」

   少し考える。

千里「いいよ、暇だから。」
マコ「よっしゃあ決まりね。」
眞澄「忘れるなよ。」
真亜子「その日ちゃんと開けておきなさいよ!!迎えにいくからね。」
千里「わ、かったよぉ。分かった。忘れないようにちゃんとカレンダーに書いておくよ。」

   四人、アイスクリームを嘗めている。


上諏訪駅裏・並木通り
   諏訪よいてこが行われている。


小口家・千里の部屋
   珠子と千里。千里、浴衣の気付けをしている。

珠子「流石はせんちゃん、あの頃と全く変わらず…器用ね。」
千里「へへ、そう?ありがとう。よしっ、で着たっと。これでいいかな?」
珠子「凄くよく似合ってるわせんちゃんに!!」

   玄関チャイム

珠子「あ、お友達が来たわよ。」
千里「はーいっ!!」

   出ていく。

千里「じゃあママ、行ってきまぁーす!!」
珠子の声「はーい、気を付けてねぇ…」

   千里、家を飛び出ていく。


同・庭先
   眞澄、マコ、真亜子が浴衣姿でいる。

千里「おまたせ。」
三人「うわぁーっ!!!」

   うっとり。

三人「千里くん浴衣なんだぁ!!」
マコ「浴衣姿の千里くんってとっても可愛いね。」
眞澄「うんうん!!眞澄、千里くんの事好きになっちゃーう!!」

   千里も赤くなって照れ笑い。
 
真亜子「いかしてるぜ、少年よ。」

   時間を見る。

真亜子「まずいっ、じゃあ…行くか?」
全員「イェッサァー!!」

   城南の道をバス停に向かって歩いている。


上諏訪駅裏・並木通り
   多くの人で賑わうよいてこ会場

   躍り連にくっついている全景の四人。

マコ「難しくないからね、すぐに覚えられるわ。」
真亜子「途中に三回ばか休憩も入るしね。」
眞澄「見よう見まねで踊ればいいのよ。その内に、自然と見なくても踊れるようになるわ。」
真亜子「そうそう、諏訪の子なら嫌でも覚えるね。学校でも、地区の行事や子供会とかでも踊るからさ。」
千里「へぇー、そんなに踊るんだね。よしっと、僕も頑張って踊れるようになろっと。」

   心配そうに頭をかく。

千里「でも僕ってバカだからなぁ…覚えられるかな…」 
マコ「大丈夫、覚えられるわよ、」
真亜子「さぁ、始まるわよ。」
眞澄「チーちゃん、私たちと一緒に踊ろ。」
千里「うんっ!!」

   流し躍りが始まる。千里、初めは神経質ぎみに見よう見まねで踊っているが、その内に慣れてきたように軽やかになる。


   休憩時間、ジュースを飲んだり食べたりしている。

千里「あ、僕ちょっとおしっとしたいんだけど?」
眞澄「あぁ、トイレ?そこ、」

   指差す。

眞澄「一番近くで駅の西口だよ。」
千里「分かった、ありがとう。」

   小走りに行く。

千里(浴衣と下駄って走りずらいな…よく昔はこんなもんで毎日過ごして走ったり歩いたりしてたもんだ!!今じゃあとてもじゃないけど考えられないよ…)

   トイレへと入っていく。


   後半も楽しくわいわいと踊っている。

真亜子「千里くん上手い上手い!!」
マコ「凄い!!やれば出来るじゃないの、覚え速いわね。」

   眞澄笑う。 

眞澄「ね、だから言った通りでしょ?チーちゃんも大分馴れたね。」
千里「いやぁ、それほどでもぉ…」 

   頭をかく。

千里「でもとっても楽しいよ、みんなありがとね。」
三人の女子「どういたしまして。」

   顔を見合わせて微笑む。

三人の女子「良かった。」

   千里も綻び、三人は千里を可愛さあまりに弄りまくる。千里もふざけて笑いながら嫌がっている。

   こうして賑やかな夏の夜は更けていく。


   



 

 



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