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石楠花物語小学校時代
京都へ…

バスの中
   帰路。全員、アイスクリームを食べている。

麻衣「ううっ、私へーこんねに食べれない。」
健司「ほいじゃあ、俺が食べるよ!!」
横井「俺も俺も!!」

   全員でがやがや。

   (しばらくご)

健司「おえっ、気持ち悪っ、」
横井「俺も、流石にアイス、食い過ぎた。」

   麻衣、笑う。

湯田坂先生「バカね、そんなに食べたの?」
磨子「このバカたち、麻衣ちゃんの残りも分けっ子して食べたんです。」
末子「自業自得っつーやつな。」
健司「てっめぇーらなぁ?」
横井「他人事だとおもってぇ?」

   全員、わいわいとやっている。


小口家・台所
   千里が帰ってくる。

千里「ただいまぁ!!」
珠子「あら、せんちゃんお帰りなさい。今日は早かったわね。」
千里「佐久間先生の誕生日なんだ。僕、ケーキ作って持ってくねって約束したの。だから、」

   鞄を置くと急いで手荒い嗽をしてエプロンをつける。

千里「これからケーキ焼く!!」
珠子「まぁまぁ、あなたはいつも突発的ね。何ケーキ焼くかは決めてあるの?」

   千里、作りながら。

千里「うんっ!!シュークリーム!!」
珠子「それ、ケーキじゃないでしょ?」

   千里、とても慎重に材料を図ったりしながら作っている。

 
   しばらくして焼ける。

千里「よしっと、出来た!!でもすぐには開けちゃいけないんだぞ。」
珠子(この子、シュークリームはとても上手いのよね。)

   微笑む。


   更に暫く後、千里、オーブンを開ける。

千里「うわぁ!!やったぁ!!」

   目を輝かせる。

千里「ママ、見てみてみてみて!!今日もとてもよく膨らんだよ!!」
珠子「本当に!せんちゃんはシュークリーム作るのはとても上手ね。これなら佐久間先生も大喜びだわ。」

   千里、カスタードクリームを絞っている。

珠子(この子、パティシエにでもなったらどうかしら?)
千里「んー?ママ何か言った?」
珠子「いいえ、別に何も。」


   出来上がり、千里、きれいにラッピングを済ます。

珠子「綺麗に出来たわね。で?何処まで渡しに行くの?先生のお宅は分かる?」
千里「いや、分からないけど…。京都タワーの前で待ち合わせなんだ。」
珠子「そう。準備はできた?」
千里「うんっ。じゃあママ、お願い。」
珠子「はい、では行きましょう。」
千里「はーい。」

   二人、家を出ていく。


京都タワー前
   佐久間先生、千里

千里「先生っ!!」
佐久間先生「あ、千里君。」
千里「これ、僕が焼いたんだよ、食べてくれる?」
佐久間先生「まぁ、千里君ありがとう!!本当に焼いてきてくれたの?」
千里「うん、勿論だよ先生!!」
佐久間先生「開けていい?」

   千里、嬉しそうに大きく頷く。

佐久間先生「わぁ、シュークリーム!!凄いわ、これ本当に君が作ったの?」
千里「ええ。」
佐久間先生「お一つ食べてみてもいい?」
千里「どーぞ、どーぞ。」
佐久間先生「では、」

   シュークリームを食べて大きく微笑む。

佐久間先生「ん、とっても美味しいわ千里君。あなた、お菓子屋さんになればいいわね。ありがとう。」
千里「先生、お誕生日おめでとう。」
佐久間先生「本当にありがとう、千里君。君って子は本当に…大好きよ。」

   千里、笑いながら照れて頭をかきながらもじもじ。爪先を三回とんとんする。

茅野市・山の手の土手
   麻衣、磨子、健司が自転車で遊んでいる。三人、割りと深くて幅のある川を木の枝に捕まってターザンする。

健司「あ〜あ!!」
麻衣「あ〜あ〜あ〜!!」
磨子「あ〜あぁぁ!!」

   三人、向こう岸に尻餅をついて笑う。

麻衣「でも、健司ったらあんた、トイレ行きたかったら先生に言えばよかっただに。」
磨子「もらすまで我慢してただ?」

   健司、真っ赤になる。

健司「もらしてねぇーよ!!」
磨子「でもへーもれそうになってたらに。ほれともへー、」

   にやり

磨子「パンツん中に出ちゃってた?」
健司「だで、もれてねぇーんだって!!」
麻衣「でも、良かったわね。あんた、私達が気が付いていわなけりゃ、あのままバス乗ってお帰りだっただもん。とてもじゃないけど茅野まで我慢出来んかったら?」
磨子「ふーん、あんたでも恥ずかしくて言えんこんがあるんね。どいでいつも気が強くて、なんでも無遠慮に言う癖に、“おしっこ!!”だけは言えんのかしら?」
健司「ほいだって…ほれは…」
麻衣「てっちゃんなんて、授業中にもみんなの前で“先生ぇ、しっこぉ!!”なんて言ってるに。」
健司「哲仁とは一緒にするな!!」
磨子「御曹司はお便所なんてはしたなくて言えなぁーい!!…ってか?」
健司「だで、御曹司って呼ぶなっ!!」

   三人、わいわい。

健司「ん、なら次は自転車でも乗ろっ!」
麻衣、磨子「おーっ!!!」

   三人、自転車を引いて、山を上っていく。


河原町通り
   千里、るんるんと珠子に手を引かれて歩いている。そこへ美代。

美代「あ、」
千里「あ、」

   微笑む

千里「美代ちゃん!!」
美代「千里ちゃん!何処へ行ってきたの?」
千里「京都駅だよ。佐久間先生にシュークリーム渡してきたの。今日先生の誕生日なんだ。だから僕、作ったの。」
美代「へぇー!!」

   にっこり

美代「いいなぁ…美代の誕生日、10月なの。だから、美代の時も千里ちゃん、何かプレゼントくれる?」
千里「勿論、いいよ。何がいい?」
美代「じゃあ美代も千里ちゃんの焼いたお菓子がいいな。」
千里「分かった!じゃあね、」

   手を降りながら歩く。

千里「これからママとデパート行くんだ。」
美代「はーい、又学校でね!!」

   美代も通りを走っていく。


デパート
   千里と珠子が入る。

珠子「せんちゃん、いいガールフレンドがいて良かったわね。」
千里「うんっ。美代ちゃんはね、とっても優しいんだよ。それに可愛いだろ?」
珠子「せんちゃんは美代ちゃんの事好き?」
千里「うんっ。美代ちゃんね、大きくなったら僕のお嫁さんになりたいんだって。だから僕も、美代ちゃんの旦那さんになるんだよ。」
珠子「まぁ、」

   笑う。

珠子「ならせんちゃん、美代ちゃんの為にしっかりお仕事しなくちゃね。」
千里「うんっ!!ところでママ、今日は何を買うの?」
珠子「今日?」

   微笑む。

珠子「勿論、せんちゃんのピアノの発表会のお洋服よ。」
千里「僕の?やったぁ!!」

   るんるんとついていく。


茅野市・山の手の土手
   麻衣、磨子、健司、自転車で急な斜面を下ったりして遊んでいる。

健司「まーい、次お前だぞ。早く降りてこいよ!!」
麻衣「よしっ、」
磨子「気を付けてねぇ。」
麻衣「言われなくてもほのつもりじゃい!!」

   下る。

麻衣「では、柳平麻衣、いっきまぁーすっ!!」

   ノンブレーキですごいスピード。

   しかし下でバランスを崩す。

麻衣「う、う?う…うわぁーっ!!!」

   派手に転んで土手を転がり落ちる。

健司「麻衣っ?」
磨子「麻衣ちゃん?」

   二人、急いで駆けつける。麻衣、暫く痛みに呻いている。

磨子「麻衣ちゃんっ!!」
麻衣「うぅーっ、」

   起き上がる。

麻衣「みんなごめんごめん、大丈夫だに。」

   土を払って立ち上がる。

麻衣「私がこれくらいで大事に至ると思う?ほいだって私は、警察官の娘だに。」

   にっこり。

麻衣「さぁーてと、何かお腹空いちまったな…みんな私んち来て…」

   健司を見る

麻衣「健司?あんた何やってるだ?」

   健司の前に回り込んで手で顔を覆う。

麻衣「きやぁー、健司のエッチ!!」
磨子「ん、どーしたの?」

   磨子も回り込む。

磨子「ぷふっ、」

   健司、立ち小便をしている。

健司「笑うなっ!!てか、見るなっ!!」


   三人、山を下っていく。

磨子「でも麻衣ちゃん、すごく擦りむけてる、血が出ちゃってるよ。大丈夫だだ?」
麻衣「ん、平気平気。こんなのな、」

   川の水で傷口を洗う。

麻衣「よく洗ってな、唾つけときゃ治るんよ。」

   唾をつける。

健司「お前っつー女は…」

   ぽかーん。

健司「大した女だぜ。」
磨子「この健司坊っちゃんなんて、こんな怪我すりゃ大泣きの大騒ぎだにね。女の子がこんねに平気だに、」

   ぷぷっと笑う。

磨子「恥ずかしっ。」
健司「う、う、うるせぇーやいっ!!」
麻衣「よしっと、OK!!」

   走っていく。

麻衣「みんなも早くはやくっ!!」
磨子「待ってよ麻衣ちゃん!!」
健司「お、おいっ!ほんねに走ってへー大丈夫なのかよ?おえっ!!」

   二人も麻衣を追いかけて走っていく。


柳平家
   柳平八重子、麻衣に消毒をしている。

麻衣「痛い痛い、八重姉痛いって!!」
八重子「滲みる?少し我慢なさいっ!!はいっ、」

   絆創膏を張る。

八重子「はい、出来ました。全くあなたって子は!!女の子なのにもう少しお淑やかに落ち着いていられないの?又、自転車して土手を転がり落ちたんでしょ?」
麻衣「はーい、」

   八重子、悪戯っぽい麻衣のお尻を一発叩く。

八重子「これに懲りて少しは反省して大人しくなさいっ!!今にもっと酷い怪我をしたらどうするの?」

   そこへ柳平正三

正三「まぁまぁ姉貴、ほー固くならず。いいじゃんか、やんちゃ盛りは今だけなんだし、怪我は子供の勲章だろ?」
八重子「ほーはいっても、正三!!」
麻衣「ほの通り、兄貴が正しい!!」
正三「お、麻衣、分かってるねぇ。」
麻衣「ほりゃあ、」

   踊り出す。

麻衣「こんな時今しかないだだもん。やりたいこんやりたいのさ。ほれに、」

   いたずらっぽい

麻衣「大丈夫、私だって何をどうしたらどーなるか、怪我の程度くらい分かってらぁ!!取り返しもつかないような、大ケガはしないようにするや。何ぁーに、ほんねに心配せずとも。な、みんな。」

   ジュースを飲む磨子、健司を見る。二人、顔を見合わせる。

麻衣「よーしっ!!」

   コップ一杯を一気のみ。

麻衣「元気が出たところでもう一致ょいっか!!」
八重子「これっ、麻衣っ!!」

   麻衣、飛び出ていく。

磨子「お邪魔しましたぁ。」
健司「御馳走様ぁ!!」

   二人も一礼して後を追って飛び出ていく。 

八重子「んもぉっ、」

   腰にてを当てて鼻を鳴らす。


小口家・和室
   千里、鏡の前でおニューの服を着てポーズを決めている。

珠子「せんちゃん、よく似合っているわよ。ママの王子様!格好いい!!」

   ベビーベッドに小口頼子が寝ている。

珠子「ねぇ頼ちゃん、お兄ちゃん格好いいねぇ。」

   千里、るんるん。

千里「ねぇママ、ピアノの発表会の日、美代ちゃんのお誕生日なんだ。」
珠子「まぁ!!」
千里「だから、美代ちゃんに…この僕のピアノと、お菓子、プレゼントするの。」
珠子「まぁ、丁度いいじゃないの!!美代ちゃん喜ぶわよぉ!!せんちゃんも美代ちゃんの事が大好きなのね。」
千里「うんっ!!」
小口の声「ただいまぁ。」
珠子「あ、パパだわ。はーい、お帰りぃ。」
 
   小口、入ってくる。

珠子「どう、パパ?」
小口「おぉっ、」

   千里を抱き上げる

小口「格好いいじゃないか千里!!これで、ピアノの発表会をやるのか?」 
珠子「えぇ、勿論」

   千里にすりすり

珠子「ほっぺもこんなにもちもちで、ママの王子様!」
小口「おいおい珠子、」

   笑う。

小口「誉めるのはいいが、お前は少し親バカすぎる。」
珠子「まぁ、親バカで何がいけないの?」

   千里の頬にキッス。

珠子「だってせんちゃんはママの可愛い一人息子なのよ!!ねぇー坊や!!」
小口「全く!!」

   笑いながら出ていく。珠子、千里にいちゃいちゃ。千里も照れて笑っている。


柳平家・台所
   家族9人。夕食をしている。

麻衣「え、京都?」
柳平けいと「あぁ、急に父さんの仕事の都合でな、数日間行くことになったんだよ。ほこでだ。折角なんだ、家族みんなで旅行をしないかい?」
柳平紡「え、私達もいいだ?」
柳平糸織「連れてってくれるの?」
麻衣「行く行く行く行く、絶対にいくっ!!」

   柳平、微笑む。

柳平紅葉「でもあなた、本当に子供達も一緒に連れていっていいの?お仕事ですのに。」
柳平「何ぁーに、構わんよ。私が仕事の時は適当に何処か見ていればいいさ。それに、子供達も小さいんだ、こんな時は今しかないんだよ。みんなでわいわいいった方がずっと楽しいじゃないか。」
八重子「それもそうね、ね、正三。」
正三「あぁ!!」
紅葉「あなたたちは、」

   笑いながら

紅葉「受験のお勉強はしてなくていいんですか?」

   八重子、正三、顔を見合わせる。

紅葉「冗談よ、みんなで一緒に行きましょう。」
正三「んもぉ、おふくろぉ。こんな楽しい気分になっているときにまで勉強の話はしないでくれよ。」
八重子「そうよ、本当よ、母さん。」
紅葉「んもぉ、そんなかお二人ともしないでよ。ごめん、ごめん。」

   そのあとも夕食をわいわいとしながらみんなで食べている。


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あきゅろす。
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