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石楠花物語小学校時代
それぞれの始まり
宮川長峰小学校・体育館
   1996年4月8日。入学式が行われている。その中に、柳平麻衣、岩波健司、田中磨子、吉岡末子、横井哲仁もいる。健司は少々泣きべそっぽい顔をしている。


同・教室
   一年三組。泉平牧先生と新一年生。一年生たちは先生の話を聞いている。


   終わるとそれぞれのお父さんと一緒に教室を出る。麻衣、少し後ろに磨子。

泉平先生「麻衣ちゃんと磨子ちゃんね。」
麻衣「先生!」
泉平先生「二人の服、ピンク…そっくりね。」

   麻衣、磨子、顔を会わせて微笑む。

泉平先生「仲良くなれそう。明日から一緒に頑張りましょうね。」
麻衣、磨子「はいっ!!」

   泉平先生、退場。

麻衣「磨子ちゃんって言うの?私麻衣。」
磨子「麻衣ちゃんか!宜しく、私は磨子。田中磨子。」

   二人、微笑み会う。

麻衣「外で明日から近所になる友達が集まるんだって、いこ。」
磨子「うんっ!!」


同・校門
   磨子、麻衣、健司、末子、横井、柳平糸織、柳平紡が一緒。別学年で岩波悟、柳平正三、横井美和恵、中町康、塚原正がいる。

美和恵「はい、私達が今度から地域の子供会を作る、近所の仲間です。新一年生が入学したので、改めて自己紹介をしましょう。皆さん仲良くしましょうね。」
全員「はい!」
美和恵「まず、自己紹介をします。私が6年生3組の横井美和恵です。」
横井「俺の姉ちゃんだよ。」
美和恵「哲仁っ!余計なこと言わないで。」
横井「ちぇっ。」

   全員、クスクス。

美和恵「それではみんなも自己紹介をしてください。」
正三「俺は、5年2組の柳平正三です。」

   指差す。

正三「あいつらの兄貴さ。」
中町「僕は4年1組の中町康、」
悟「僕は3年2組、岩波悟です。あの、健司の兄です。」
塚原「僕は…」 

   気障にDJっぽくチャラく。

塚原「2年1組塚原正さ、ヘェーイっ!!」

   シーンとなる。

美和恵「で…では、次は新一年生宜しくね。」
麻衣「はいっ、1年3組の柳平麻衣です。宜しくお願いします。」
紡「1年2組の柳平紡です。宜しくお願いします。」
糸織「1年1組の柳平糸織です。宜しくお願いします。」
三つ子「三つ子です、宜しくお願いします。」
末子「1組3組の吉岡末子です、宜しくお願いします。」
横井「1組3組の横井哲仁です、宜しくお願いします。」
磨子「1組3組の田中磨子です。宜しくお願いします。」
健司「1組3組の岩波健司です。宜しくお願いします。」
美和恵「へぇー、一年生は三組の子が多いのね。」
紡「みんな麻衣の友達か、」
糸織「いいなぁ。」


   解散。

   其々の父親と共に帰っていく。


柳平家・居間
   柳平紅葉、柳平けいとがいて、柳平と子は幼稚園の入園式の帰り。

紅葉「まぁ、そんな近くにお友達がいたのね!」
麻衣「うんっ、健司君と磨子ちゃんって言うんよ。」
柳平「健司君は同じひばりヶ丘で、磨子ちゃんは高部だってさ。」
正三「よかったな、近くに同級生がいて。」
麻衣「うんっ!!」
紡「麻衣のやつ、あの子と別れてからずっと寂しそうだったもんな。」
麻衣「あの子って?」
糸織「ほれ、さくら組の子!」
麻衣「寂しくなんて無いもんっ!!」


岩波家・健司の部屋
   岩波茂、岩波幸恵、悟、健司

岩波「ほれ健司、入学祝だ。」
健司「うわぁーっ!!」

   目を輝かせる

健司「お父さん、お母さん、ありがとう!!」
幸恵「自由に使っていいわよ。ここはもうあなたのお部屋なの。」
健司「うわぁーいっ、やったぁ!!」
悟「良かったな、タケ。」
健司「うんっ!!」
悟「でも、もうお前も一年生なんだから」

   微笑む

悟「いい加減におねしょは治せよ。」
健司「ん、ん、ん…んもぉーっ、お兄ちゃんの意地悪!!」


田中家
   田中悦、田中朗、磨子。

田中「磨子、お前も今日からとうとう一年生だな!大きくなったもんだ。」
磨子「うんっ!」
悦「明日から一人で学校に行くのよ。いい?道には充分気を付けるの。」
磨子「うんっ!」
悦「それに、磨子は可愛いんだから、変な人に着いていっちゃダメよ。いじめられたらすぐに言いなさい。」
磨子「だもんで分かったってば!!」

   照れて三人で静かにふざけあっている。


小口家・台所
   小口珠子、小口懐仁、小口千里、小口千草

小口「千里、立派だぞ。遂にお前も一年生か。」
珠子「ママの王子様、格好いいわ。」

   千里、浮かない顔

千里「ねぇ、何で引っ越して来ちゃったの?僕、前のお友達と一緒の学校に入りたかった…」
千草「僕も、前のお友達と離れたくなかった…」
小口「でも、君達はここで生まれたんだよ。覚えていないだろ?ママのふるさとだからね、これはママの希望なんだ。お前たちをこの地で育てたいって…」
珠子「そんな顔しないで、すぐに慣れるしお友達も出来るわよ。」


   千里、千草、しかめ面。

千里「オッパぁ、僕宮川に戻りたいよぉ。」
千草「そんなの僕もだよ…」

   二人、浮かぬ顔で溜め息。


宮川・通学路
   翌日。麻衣が歩いている。そこに磨子、健司。

磨子「おーいっ!!」
健司「おーいっ!!」 
麻衣「ん?」

   止まって振り替える

麻衣「あ!!はよーん!!」
健司「はよーん!!ん、」

   笑う

健司「ぎょぴちゃん。」
麻衣「へへっ、健司君だよな、」
健司「うん、俺、健司。麻衣?」
麻衣「いきなり呼び捨て?ほーだに、麻衣。ならあんたは健司。」
磨子「私は?」
健司「磨子、」
磨子「あら、私も呼び捨てなの?健司、」
麻衣「磨子ちゃん。」

   三人、笑って登校。


宮川長峰小学校・教室

末子「ねぇ、鞄置いたら6年生のところ行こうよ。」
横井「あぁ。お前らは?」
麻衣、健司、磨子「あ、行く行く行く行く!!」 

   五人、急いで教室を出ていく。


同・6年3組
   六年生たち、多くの一年生と遊んでいる。

美和恵「あ、来たのね。」
麻衣「うん、てっちゃんのお姉さんなんね!」
美和恵「そうよ。あなたは麻衣ちゃんね。」
麻衣「えぇ!!」
美和恵「哲仁っ、」

   横井を睨む。
 
美和恵「女の子苛めて泣かしちゃいけないからね!分かった?」
横井「わ、わ、わ、わ、…分かったよぉ…」

   不貞腐れながらたじたじ。

美和恵「あ、」

   時計を見る
 
美和恵「あ!ごめんね、私、放送委員…行かなくちゃ…」

   走っていく。

磨子「あーあ、行っちゃった…」
麻衣「六年生って大変で忙しいんね…」

   チャイムがなる。

麻衣「あ!!」
健司「教室行かなくっちゃ。」
磨子「そうね…」

   五人も走っていく。

健司「あぁっ、」

   転ぶ。

麻衣「健司、大丈夫?」

   手を差し伸べる

健司「痛い…」

   泣きそう 

健司「お母さん…」

   しくしく

麻衣「泣くな、泣いちゃいかん。」

   健司を慰める。

麻衣「ほれ、行くに。」
 
   手を引いて戻っていく。


京都の小学校・教室。
   熊井仁子先生と新一年生。

熊井先生「みなさん、改めてご入学おめでとう。」
全員「ありがとうございます。」
熊井先生「今日から、みんな先生と一緒に頑張りましょうね。では、まず一番初めの授業を…」

   千里を見る。千里、泣いている。

熊井先生「ん、君は?」 

   近くに行く

熊井先生「小口千里君ね。どうしたの?」
千里「お家帰りたいよぉ、ママぁ…」

   千里を慰める

熊井先生「一年生でしょ、しっかりしなくちゃ。ね。お家が恋しいの?お母さんに会いたいの?」
千里「お家帰りたいよぉ、ママぁ!!ママぁっ!!」

   しくしく。

熊井先生「ちょっと先生のお隣へ来て暫く座っていましょうか。ね。」
 
   千里の机と椅子を一番前に持ってきて千里を座らす。

熊井先生「千里君のお家はどこ?お家はここから見える?」

   あやしながら色々と優しく話をしている。


   暫く後、千里も泣き止んでるんるんと学校探検をしている。


同・理科室
   人体模型と骸骨模型が立っている

千里「…っ、」

   青ざめて目が釘つけ。

   振動でかたりと動く。

千里「わぁーっ!!!ママぁ!!」

   その場に腰を抜かせて大泣きをする。

千里「ママぁ!!」

   逃げ出そうとするが腰が抜けて立てれない。おもらしをしてしまっている。熊井先生、千里を介抱。

熊井先生「千里君、落ち着いて、大丈夫よ、大丈夫。何もいない、ちょっとビックリしちゃったね、怖かったね。」
千里「先生っー、怖いよぉ、もうお家帰りたいよぉ!!ママぁ!!」 
熊井先生「あらあらあら、ちょっと待って千里君。おしっこもれちゃったねぇ、ズボン変えなくちゃ。先生と一緒に医務室行こうか、」

   しっかりと千里の手をとってまだしくしく泣いている千里を連れていく。

熊井先生「みんなはちょっとここで待っていてね、動いちゃダメですよ、すぐに戻ってきますからね。」
清原元助「あの子早速おしっこもらしちゃった…大丈夫かなぁ?」
園原宗一郎「きっとこの、」

   模型を指差す。

園原「お人形が怖いからビックリしちゃったんだよ。僕も少し怖かったもん。」
清原「本当だ、僕気が付かなかった…」

   見て身震いする。

清原「今夜一人でおしっこ行けないよぉ!!」

   もじもじ

清原「何か僕もおしっこしたくなっちゃった!!ちょっと、おトイレっ!!」

   出ていく。

園原「先生がじっとしてなっていったじゃん!!ダメだよぉ!!」
清原「トイレくらいいいだろぉっ!!」

   急いで走って出ていく。


同・医務室
   千里、ズボンとパンツを脱がされ着替えさられているが、まだ泣き止まずに泣いたり者繰り上げている。

熊井先生「ほらほら千里君、もう君も泣かないの。おしっこしたかったら今度からは授業中でももらしちゃう前に先生にちゃんと言おうね。」 

宮川長峰小学校・教室
   千里同様、健司が泉平先生の隣で泣いている。

泉平先生「健司君、ここからお家が見えるの?」
健司君「あっち…。先生…」

   者繰り上げながら

健司「おしっこ…」
泉平先生「おしっこ、一人で行ける?」
健司「…。」
泉平先生「なら先生と行こうか?」 

   健司を連れて出ていく。

   磨子、鼻で笑う。

磨子「ふんっ、男の癖にあの泣き虫っ!!」
麻衣「やめなさいよぉ!!磨子ちゃん。」
磨子「私なら何したって泣かないわ。例え学校でおもらししちゃったとしても泣かないわ。それに、大体休み時間の内におしっこしておかないから授業中に行きたくなるのよ!!我慢しろってんだ!」
末子「でも健司君、我慢出来なかったのかも。」
磨子「ほんなの、我慢出来なくなるまで我慢する方が悪いのよ。」
横井「ふーん、ほれふんとぉーだな?」
磨子「何よ、私を疑ってんの?」
横井「ふんっ、女番長さんのおもらし、しかとこの目で見てみたいもんだぜ。」
磨子「何だってぇ?」

   横井に食って掛かろうとするのを麻衣、末子が止めにはいる。

麻衣「やめてっ、やめなさいよ。磨子ちゃん、よしてったら!!」


   (別の日)
   漢字の書き取りの自習時間。

麻衣「ん?」

   磨子、もじもじ。

麻衣「磨子ちゃん、どうしたの?」
磨子「何でもない、」

   しかししっかりと勉強だけはしている。麻衣、小声

麻衣「ひょっとして…おしっこしたいの?」
磨子「ちょっとね。」
麻衣「ほいじゃあ、」
磨子「いいの、」

   苦しそう

磨子「あんな大口切った手前、ほんな拍子の悪いこと出来ないわ。」
麻衣「でも…」
磨子「もらしちゃったら、そん時はそん時…」

   書き取りを続ける。麻衣、心配そうに磨子を見ている。

横井「お、」

   大声で

横井「田中磨子が小便行きたいぞ!!我慢してるぞ!!」

   笑う。

横井「この間お前、大口切ってたよな?忘れたか?」
磨子「先生いないからって調子に乗るんじゃねぇーよ横井!!あぁ、覚えてる、ちゃんと覚えてるよ。」

   手を振る。

磨子「気が散るから静かにしな、授業中だよ。」
横井「相変わらず…緊急事態の様なのによぉ、気の強い女だぜ。」

   
   数分後、全員、磨子に注目。麻衣は心配そうに顔をしかめ、健司は驚いて目をパチパチ。

麻衣「磨子ちゃん…大丈夫…?」
磨子「大丈夫、大丈夫、」

   あっけらかんとした顔をしている。

麻衣「先生、呼ぶか?」
磨子「いい、大丈夫だに麻衣ちゃん、」

   立ち上がって見渡す。

磨子「おいっ、男共、何じろじろ人んとこ見てるんだよ!!女の子のおもらし見物するだなんて…何て最低なやつっ!!」

   シーン

磨子「何やってんだよ!!あんたら、」

   おもらしを指差す、

磨子「さっさと片付けな!!」

   健司もビクビクしながらポカーンとする。

   磨子は着替えをとってきて、堂々と着替え出す。男子、ポカーンとしながら従わざるを得なくなり、おもらしを片付け出す。


   (給食時間)

麻衣「でも磨子ちゃん…強がらなくてもいいだに…」
磨子「強がり?誰が?」

   笑う。

磨子「誰も強がってないよ。あー、楽しかった!!あの男共の顔…」
健司「まさかっ、お前…」

   磨子、あっけらかんと。

磨子「ほ、ほのまさか。この私たるものがふんとぉーにすると思う?」

   鼻で笑う。

磨子「わざとよ、わざと。」
麻衣「んまぁ、呆れた!!」
磨子「健司、あんたも泣いてばかりいないでこれくらい出来なくちゃダメよ!!女が泣かないで男が泣くなんて…」
健司「ほりゃ、僕が弱いんじゃなくてお前が強すぎんだろうに…」

   磨子、健司にグリグリ。

健司「痛いっ、痛いっ、痛いってばあ!!」

   全て平らげる

泉平先生「それでは本日は、魚のチーズ焼きが二つ残っていますので、食べたい人…」
健司「はいはいはいはいはーいっ!!」

   数名の人が手をあげ、じゃんけん。

   にこにこしながら健司が貰ってくる。


麻衣【と、とてもいい出だしで私たちの一年生は平穏に素敵な年として終わるかと思っていましたが…】


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