鎖 5 《本年度の〈新人賞〉は 初等部B組 今井蛍さんです!!》 パッ、というライトのつく音が 聞こえるぐらいに聴覚が研ぎ澄まされた。 (蛍が新人賞!?) わあああぁぁぁぁ!! 「すごいよ蛍ちゃん!!」 「新人賞だよ!」 「・・・」 (すっごい・・蛍・・・) すごいすごい! おめでとう蛍!! 《ピグラー&ピグバードなど その他の発明品において その驚異的捜索意欲や 発明センスに 各国メディア企業からも 高い評価を受けての受賞となりました ちなみにこの受賞は〈新人賞〉最年少受賞です!》 「・・150万円・・・」ボソッ 蛍アンタって人は!! 何キラリと目を輝かせて・・っ (遠耳のアリス。) 苦笑は心の中だけにとどめておいて ひたすら パチパチ・・と手を叩く蜜柑。 その時 蛍の視線の方向に眼が行った。 (・・あ 蛍のお兄さん・・・) ___潜在能力系代表の 今井昴は ただ 無表情を崩さずに軽い拍手をしていただけで (わーーー) (パチパチパチ・・・) 賞賛の拍手や声援が 隣の部屋で起こっているような 自分には関係が無いような、そんな感覚がした。 ___視線は合わなかった。 今井昴は 蛍が通り過ぎれば すぐに手を膝に下ろした。 (パチパチパチパチ・・・) 俯いたかのような 蛍の顔は見えなかったけれど こんな嬉しいはずの場面で 蛍が笑っていないことだけは 分かってしまった。 (・・蛍・・・) [*前へ][次へ#] |