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パラ・・・



割れたガラスを振り落とした。

見たのは、親友と、もう一人は知らない女の子。


なぜか親友はその子を押し倒していた。
































窓ガラスを突き破って登場してきた少年は、少しばかりの間、痛そうに顔をゆがめていた。




(・・・随分と綺麗な容姿をした子だなぁ・・・)



それが最初に思ったこと。

・・・もう、登場の仕方がどうとか考えないことにしてしまった。

ここでは自分の常識は通用しないんだと思うことにしたのだ。





・・・窓の外になんだかデカイ鳥がいる・・・たぶんアレにつかまって飛んできたんだろうなぁ・・・



動物フェロモンか・・・・

そういえば棗君の生い立ちのなかに・・・





しかし、目の前にいる少年はたしかに整った容姿をしている。

キラキラした金色の髪、青い瞳。

それに、男の子にはどうかと思うけれど、可愛らしいと思う。

もしかしたら女の子よりも可愛いのではないだろうか。


このしかめっ面を止めさせれば。






















「・・・ルカ、おせーよ」

「・・・誰のせいだと・・・」







・・・ルカ?

ああ、そうか、やっぱりこの子が棗君の親友の・・・。






「それにしたって棗、何で自力で逃げなかったんだよ?・・・それにその子誰?」

「・・・なんか調子悪くて力使えねーんだよ・・・ こいつは・・・」

「!!?」


















・・・・・

私は、棗君の意識がルカ君に移った僅かな瞬間に、押し倒された状態から体勢を立て直したのだ。


(調子が悪くて使えない・・・かぁ。

ちょっと・・・それは・・・違う・・・かな?)








先ほどまでつかんでいた腕が無いことに気が付いた時には、すでに彼女の姿は無かった。


・・・いや、それは違った。


「・・・お前、いつの間に・・・!」









後ろを、とられていた。



即座に棗は振り向き、窓からはなれる。









「な、棗!?」

親友の行動に驚き、ルカは駆け寄ろうとする。

早くここから出るつもりではなかったのか?と。





「来るなルカ!こいつ・・・」

きっ、と警戒心と敵意の入り混じった睨みを向けられた。









「・・・ひどいですね・・・人を化け物みたいに見るなんて・・・」


まったくだ。

自分は、拘束から逃れようとしただけなのに。

(イラッとすると、なんとなく敬語を使うようになる。)



このとき、本人は無意識だが、ウサギどころか、ライオンや狼までもがやばいと思うような冷たい微笑がうかんでいた。













「・・・答えろ! お前何者だ!」

不覚にも冷や汗がにじむ。




「何度も名前は言ったでしょう・・・名前を覚えれないアリスでも持ってるんですか?」



アリス、と聞いてはっとする。




「そうだ・・・お前アリスだろう、それを言え、じゃないと髪燃やす!」










「・・・髪なんか燃えてもいいんだけどね。別に。




・・・あ 教えるにしてもちょっと今は無理みたいだね・・・

まあ、後でまた会うからそのとき分かるよ。うん。」




「!? どういう意味・・・」








ダダダダ・・・



ほら、近づいて来てる。




バタン!!


ドアがかなりの衝撃を受けて悲鳴を上げた。













「蜜柑ちゃん!! 大丈夫!?」


ナル先生と、岬先生。

















ほらね。


きっと今ここで話してしまうのは早すぎたのね。


神様が、まだだって、知らせてるのかも。






こんなにタイミングがいいなんて、そう思えるじゃない。















「・・・ちっ、逃げるぞ、ルカ!!」




























あのとき、君は、なにから逃げようと、言ったのだろう。




・・・教師から?


それとも・・・






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