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15

「みんな待ってる」









カツ、

カツ。






上の階段を下りて来る音が響く。

ここは袋小路。












『・・・』

「おい、来るぞ・・どうする気だ」



『・・ふふふ・・・』

「? ・・おかしくなったか?」





『;失礼な・・・ まさか!逃げるに決まってるでしょ』

「どうやって」









『・・見といて』



















だっ、階段を駆け上る。





カンカンカンカン・・・

音を聞きつけて、駆け下りてきた男が叫んだ。







「いました!! ガキ共2人、こっちで・・・(どかっ)」




蜜柑は男の腕をすり抜け、

脇から肘当てを食らわせた。


男は階段の上でひっくり返り、

ドドドド・・・と音を立てて落ちて行き、頭を打って気を失った。







「!!?」



階段の下にいた棗が目を見開いた。

いきなり人が階段から自分の方へ落ちてきたら当然かもしれないが。

















『ほら早く!』




蜜柑の声で状況を飲み込み、

急いで階段を登る。







少しではあるが、フェロモンが抜けてきていた。


それと裸足だったのが幸いした。

もし靴下だったりしたら、すぐに足を踏み外して

下で目を回している男と同じ運命だっただろう。








・・・階段を登ることに専念していられた間は

そんなことを考えてられたが、


階段の上が見えてきて、我に返った。







蜜柑は、

その背の半分は大きな男達を相手に、

鉄パイプを手に戦っていた。




少しずつ棗のいる階段の入り口から離れていってるのを見て、

何を考えているのが分かった。



自分に注意を引かせ、

棗が逃げる隙を作ろうとしているのだ。







実際、蜜柑はかなり強く、

20は歳の離れているだろう男達を相手に、

互角、いやそれ以上に戦っていた。







囲んでいる男達は始めすぐに捕らえられると考えていたらしいが

自分の目線の下にいるものを掴むのがとんでもなく難しいことを分かってきたらしい。


小さくて素早い相手で、

さっと背を低くされてしまえば手は宙を掴み、

すぐに後ろに回られ、

すねを鉄パイプで殴られる。







皆蜜柑の思惑通り、

意識をその少女に向けていっていた。





棗が充分に離れていることを見た蜜柑はさっと

右側の男の脇をすり抜け、走り出した。



いや、走り出そうとした。














「まて! 黒猫があっちに!!」

『!!』



一人の男が、そう叫ぶ時までは。











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