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珊瑚
17


「失礼します。」



中央司令部の資料室にて。

ボヤ騒ぎで行きつけの宿が使えなくなった奏流はそこにふらっと立ち寄った。



「あら?ここは民間人の使用は・・・」

「・・・・・・・・」



無言で、国家錬金術師の証の銀時計を見せる奏流。

受付の女性ははっと目を見開くと、素通りするのを見送った。



勝手知ったるなんとやら。

すたすたと廊下を歩いて目的の部屋へ向かう。



(エルリック達がここの資料室を使うのは少なくとも5日後。その前に・・・・・)



と、一人考えに老け込んでいたので奏流は角の向こうを歩く軍人の影に気が付かなかった。

曲がり角に差し掛かったとき。



「・・・・・・あ」

「おや?」



軍服を着込んだ、小柄な奏流の倍ほどある大柄な背丈の男だった。

服を着ていても分かる筋肉質の体に生粋のアメストリス人の青の瞳くるんとカールした特徴的な金色の前髪・・・ってちょっとまて



「おお!幻影の錬金術師、奏流夕月嬢ではないか!!」

「お久しぶりですアームストロング少佐・・・・・・・」



少佐のオーバーリアクションの最先端のような様子に、

あいも変わらず暑苦しいですねというような失礼は言わない。

奏流はにこりと言う。



「中央へ用事ですかな?どちらへ?」

「資料室です。第一文献があれですから」



それへ奇遇ですな我輩も資料室なのですと言う少佐。

あらまあ。



「傷の男≪スカー≫のほうも、タッカー氏の事件も片付いてませんもんね」

「うむ・・・その通りです。」



渋い顔をするアームストロング少佐。



「して、どのようなご用件で?」

「調べ物・・・というよりは次へ向かう地方の下調べを。このごろ物騒でどこも危険ばっかですから」

「ほう。どちらへ?」

「あまり考えてませんが西を見に行こうかと。」









その後、東方≪イースト≫へ電話回線を繋いだ。



「あ、もしもし。夕月です、ハンク先生お願いします・・・・・」





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あきゅろす。
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