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油断大敵(アースコ)
――朝。スコールが目を覚ますと、本来居ないはずの人物が自分の真横で無防備にも寝息をたてていることに気づいた。
今すぐその頭を殴り付けるべきか、それともストックしている魔法からサンダガを撃つべきか。
前者にしておいた。
バキッ!
「いったぁぁぁぁぁあ!?」
「何でお前がここに居るんだ。アーヴァイン」
頭を抱えて蹲っている長く伸ばした茶髪の青年アーヴァインに対し、スコールは朝一番のため息を漏らした。
「鍵をかけ忘れた俺も悪いかもしれないがな、部屋に侵入してくるのは不法侵入だろうが」
「だ、だって……」
「言い訳はいらない」
「うう……」
最愛の恋人から突き放され、アーヴァインは涙目でうなだれる。反論しないところを見ると、自分に非があることは自覚しているらしい。
「ご、ごめん」
「……まあ、過ぎたことを言っても仕方がないからな」
頭を掻きながらの発言に対し、アーヴァインがぱぁっと顔を明るくさせてスコールの顔を見つめる。
「許してくれるの?」
「うるさい」
アーヴァインの顔に枕を投げつけ、スコールはベッドから立ち上がって上着を羽織った。それから、痛そうに顔を擦る彼に向かって手を差し出す。
「――ほら」
「へ?」
「朝飯、食いにいくぞ」
アーヴァインは何回も彼の仏頂面と手を見比べたあと、笑顔で大きく頷いてみせた。
「うん! 行く行く!」
その手を掴んでアーヴァインが立ち上がった瞬間、
「まずは着替えてこい」
「…………」
つくづく自分の出鼻を挫かせるのが大好きな恋人だと実感したアーヴァインだった。
(つ、冷たい……!)
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