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その他小説
何やら不思議な生き物がいる…▼(いたスト)
※チョコボを発見したドラクエ5主人公アベルの話






 …………?

 待合室にて、アベルは見たこともない生き物を見つけた。
 黄色い鳥らしいが、飛べないのであろう翼は退化し、代わりに鋭い爪を生やした足はとても逞しく太い。人は一人乗れるくらいの大きさで、何より可愛らしい。たとえるなら――スラりんと同じくらい。
 好奇心の赴くままにその生き物へ近づいていくと、それはそのくりくりとした瞳でこちらを見つめてきた。

「クェッ?」
「…………♪」

 愛らしい鳴き声で小さく首を傾げる仕草に胸を打たれながらも、アベルは無表情を保ったまま黄色い鳥を見つめ返している。
 濁りのない澄んだ両者の瞳が絡み合う事数十秒。不意にアベルの手が黄色い頭に乗せられ――

 よしよしと撫でた。

 その気持ちよさからか目を細めて手の平へ頭を押しつけてくる生き物に、アベルも嬉しそうに笑みを浮かべてみせた。

「きみ、名前は?」
「クエーッ」
「そっか。チョコボだね」

 魔物使い故なのか、アベルはその鳥――チョコボとも意志疎通が可能らしい。
 終始和やかなムードが漂う中、アベルはチョコボの首に手を回し、そのふわふわな羽根に顔を埋めた。
 暖かくて気持ちいい。

「チョコボくん仲間にならないかなぁ……」
「クェッ」
「もうお友達だって? 嬉しい。ありがとう」

 ぽんぽんとチョコボの背中を撫でたアベルはそっと体を離すと、立て掛けていた杖を手に持ち、

「……さて、ステージに招待されているからそろそろ行かないといけないな」

 じゃあね、と空いている手をひらひらと振り、アベルはチョコボへと背中を向けて歩き出した。
 その後ろ姿を見つめ、チョコボはバタバタと羽根をばたつかせる。

「クェーッ!」

 鳴き声を聞きつけ、一瞬目を丸くさせたアベルだったが、大きく頷き微笑してみせた。

「……うん。頑張ってくるよ」
「クェクェッ」
「行ってきます」

 そう言ってマントとターバンをはためかせ待合室を出て行くアベルを、いつまでも羽根どころか足までも動かしてクエクエと鳴き続けて声援(かどうかは不明だが)を送るチョコボを見守るその他待機メンバー。
 思うことは一つ。


(魔物使いすげー……!)

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あきゅろす。
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