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気苦労が絶えない(5,8,9+2,3)
不意に、フリオニールの自室の窓が、静かな音をたてて開いた。そこからひょっこりと頭を出したのは、金色と茶色。
ジタンとバッツだ。
「よし。成功したな」
「フリオ、どんな顔するかなぁ?」
「ワクワクするな」
二人はニヤリと笑みを交わし、室内へ踏み込もうと――
「……何をしている?」
飛び切り低い声に、ジタンとバッツは下を見た。
ちなみに二人がいるのは二階である。
「「スコール!」」
腕を組みながら二人を見上げているスコールがいた。その目は完全に呆れた視線をこちらに向けている。
いつも一緒にいる仲だ。彼はバッツとジタンが何をしているのか分かったのだろう。腕を解いたスコールが顔を明後日の方に向けた。すうっと息を吸い込み、
「フリオニール! アンタの部屋に――」
「だあぁぁぁぁ! やめろ! ストップ!」
「おれたちの計画が台無しになっちゃうだろ!」
あわあわと二人が喚く。声の大きさには敵わないと知ったのか、スコールはすぐに口を閉ざす。それにホッと安堵したのも束の間、彼らにとって新たな「敵」がやってきた。
「……何してんの?」
「オニオンか」
オニオンナイトだった。あの赤い鎧と兜の格好ではなく軽装で、年相応の幼さが出ている。
少年を見下ろし、スコールは無言のまま上――フリオニールの部屋の窓にしがみつくバッツとジタンを指さした。途端、悟ったようにオニオンが頷く。
「ああ……なるほどね」
「分かってくれるか」
「うん。ものすごく」
やれやれと半眼で見上げてくるスコールとオニオンに「なんだよその目はー!」「邪魔すんなよー!」と、ジタンとバッツの声が降り注ぐ。もうこいつらはなんなんだ。子供か。そう思わずにはいられない。
スコールがオニオンを見やる。オニオンはもう彼が何を言いたいのか、理解していた。
「フリオニール、呼んでくる」
「頼んだ」
「うわー! うわー! スコール、おまっ、裏切り者!」
「悪いが、俺はその計画とやらに加担していないからな。裏切りも何も、俺には関係ない」
「おれはお前をそんな風に育てた覚えはないぞー!」
「奇遇だな。俺はアンタに育てられた覚えはこれっぽっちもない」
「「スコールぅぅぅぅぅぅ!」」
「うるさい」
「こうなったら!」
「行くぞー!」
「あ」
開き直ったのか、スコールがいるのにも関わらずにフリオニールの部屋に侵入した二人はだったが――
「な・に・を・し・て・い・る・ん・だ?」
「「あ」」
先回りしていたフリオニールに発見され、こってりとしぼられる事となり――
「……疲れるね」
「疲れるな」
正座させられたバッツとジタンの前でこんこんと説教をするフリオニールの姿を見つめながら、スコールとオニオンは小さくため息をついた。
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