9
「あ、ちが…あの時は」
「何が違うだよ…関係ないんだろ??」
関係ない…なんて思ってない、あれはただ。
俺を、どうしようもないモヤモヤと胸を切り刻むような痛みが襲う。
プツン
俺の限界をとうこえていた何かが切れたような音がする。気がついたら、また叫んでた。
「関係なくない!!」
いきなり大声にビックリしたみたいの涼は、目を丸くしてコッチを見ている。
「全然関係なくない!何年一緒にいたと思ってる!?嫌いなやつと一緒にいれるわけないだろ?俺は涼が…」
俺の口は止まってくれなかった。
「好きなんだよ!好きでたまんないんだよ!!…関係ないなんて、言うな。」
俺の目からボロボロと涙がこぼれ始めたのが分った。もうダメだ。
そう分った瞬間なにもかもが崩れ去るような気がした。
「…ゴメン、男にこんなこと言われても、キモいだけだよな。ゴメン、これだけだから…。よ、用事あるんっ、だろ?てま、とらせた。じゃぁ…いくから…ごめん」
この場から、すぐに逃げたかった。終わったんだ全部、せめて最後はこんなみっともない姿を涼にみられたくなかった。
足を一歩、ふみだそうとした。
「待って!」
涼の焦った声が聞こえて、すぐに腕をつかまれる。いきなりすぎてバランスをくずした俺の体は、後ろへと傾いた。
ポスンッ
はずだった。俺の体は涼の胸元にあたって、支えられるように抱きこまれた。
「え…あ、え?」
突然のことすぎて俺はあたふたと動揺しまくる。
「悠介…」
「!?」
耳元から届いた声にドキッと心臓がハネる。“悠介”って言ってた。“坂木”じゃない。状況に頭がついてこない、どうなってる?涼は俺のそばにいる気はないっていった。ならば、なぜ…?
「悠介…」
なんで、嫌いな奴の名前をそんなに…
「悠介、さっきの本当…?」
優しく呼ぶのだろうか…これって、どういう意味?
「ねぇ、聞いていい?悠介の好きって…“LIKE”それとも“LOVE”?」
顔に熱が集まっていく気がした。涼に触れてるところからジワジワと温まっていく。
「悠介」
暮れ始めた空。
静かで静かで、さわさわ木の葉が風にゆれる音だけ。公園の時計は6時をまわる。自分の心臓だけが騒がしい。
これは…期待だ。
「…………… …らぶ」
「良かった。」
ストンと涼の頭が俺の肩におちる。あたたかい体温がジワッて伝わってくる。
「ゴメン、言い訳させて…。」
いつも余裕綽々の涼は頼りなさげに囁いた。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!