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雷の音が遠くに鳴った。
でも、俺には雷も雨音も秒針の音も聞こえなかった。まるで世界から切り離されたような。
静かになった俺の世界で、俺は出したくない答えを。もうとっくに気づいてたはずの答えを口にした。


「嫌われたとか…?」

ズキンと胸が締め付けられた。息をすることも苦しかった。

「はは…まさか、そんな今更。何年も友達だったんだぞ?いきなり……嫌いとか」

でも確証は?嫌われていないという理由はどこにある?

「ダメだ…俺、死にそう…」

ポタっと目から落ちた水滴が枕に静かに吸い込まれていった。俺は枕に顔を埋めて、しみていく水の冷たさを感じながら目を閉じた。
何もかもを消し去りたい気持ちのまま深い眠りにつく。




 昨日の天候など無かったかのように、清清しい秋晴れだった。土砂降りでたまった水溜りに太陽の光が反射してキラキラとひかる。
さわやかに吹く風にすこし肌寒さを感じる。
それでも、気分は最悪だった。

「あ、あの山下先輩…。わ、たし山下先輩のことが」

涼がもてるのは小学校のころから分かりきっていたことだった。
でも…放課後、涼に避けられて消沈してる上、部活で疲れてる時に告白シーンにばったり遭遇なんて、
あまりにもベタすぎ。神様が本当にいるなら、ぶん殴ってやりたいくらいだ。
ふざけんじゃねぇ!!って。
 

「ごめん…栗原。俺好きな奴いるから」 

昔、告白されてるところを見た時がある。
涼は、その時“好きな奴がいる”と言ってた。その後帰り道で「誰なの?」って聞いたことがある。
そしてら涼は笑って「いないよ、本当は。断るための嘘だよ」って答えたんだ。
もしかしたら、今回もそうかもしれない。でも、そうじゃないかもしれない。
俺は壁越しに涼を見つめる。答えが返ってくるわけでもないのに

「ごめんね。じゃぁ俺行くから…」

涼は告白は終わったのか後輩から離れていく。小さくなっていく背中に無性に追いかけなければいけない気がした。

「涼…」

俺の呟きは届かない。俺は拳を握り締めて走りだした。



 「涼!!」
俺は、何度も涼と通った道を走って、目の前の一本道を歩く男の名前を呼んだ。

「待って!!涼!!」

俺の声に反応して振り返った涼は、何時もみたいに笑ってなくて俺の胸は、またズキっと音をたてる。

「坂木?…ゴメン、今日用事があるから、」
「涼!」

涼の答えは予想はできてた。でも、前にみたいではだめなんだ…。
ちゃんと話さなきゃ、涼の中に俺の存在が消えてしまう。俺の中の涼が死んでしまう。
そう思って、無我夢中で涼の名前を叫んでた。

「俺…話たいことがあるんだ…今日、ちゃんと。時間かけねぇから、すぐ終わるから!…少しだけ・・・少しだけだから」

 

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