6 キーンコーン とうとう決戦の時がくる。ホームルームの担任の声が 遠くで聞こえた。 「明日は、水曜日だけど月曜日課だかんなぁ。間違えるなよ、お前ら。はい以上、日直」 担任の呼ぶ声に日直の「きりーつ…」とダル気な声が騒がしげなクラスメイトの耳に届く。 「さよならー!!」 日直の声を合図に生徒は各々「さよなら」と言いながら足早にカバンを持って部活や帰路に向かう。 俺は、俺から少し離れた席の…窓際一番後ろの席に目を向けた。 「涼!!」 俺の心臓は間違いなく心拍上昇中だ。 あぁ!!こんなんじゃダメだ!!ちゃんと聞かなければケリがつかない。 俺は日差しの差し込むその机の前にたって、帰りの用意を既に終えた目の前の男を見すえた。 「あ、あのさ涼…」 「ゴメン、今日部活早いから後にして……坂木」 「えっ!ちょ、ちょちょ!!涼!!?」 聞き耳持ちません。そんな風に涼はカバンを掴んですぐに教室を出ていってしまった。 「なんだあれ?喧嘩でもしちゃった的な?、悠介」 「あ…月城、」 俺は、月城の問いかけに“分らない”とか答えられなかった。 何がどうで、どうなって、こうなった?意味がわからない。 あれから一週間が経ちました。今日の天候は最悪。まさに俺の心に比例してるかのような土砂降りだった。 時刻は既に11時をまわっていた。俺以外の誰かがいるはずもない自室には窓ガラスに打ち付ける雨音と近くに置いてある目覚まし時計の針の音だけが渦巻く。 時折強く吹き付ける風は、窓枠をカタカタと小さく揺らした。 俺は、一人悩んでいた。 気づけば始まりは火曜日、話しかけようとしたらスルーされ…しかも『坂木』と呼ばれたこと。 大したこと無いと言われれば、そうだったかもしんない。涼の機嫌が悪かったですむと思う。 一日なら。 あれから一週間、坂木呼びは定着。 もちろん、あの日課は無くなって…むしろ俺のところにこない。話しかけても、すごくそっけない。 友達には「ケンカでもしてんの?」ってきかれまくる。などなど これだけされれば導き出されることは、誰にだってわかる。 「俺、避けられてる。」 俺の中で言いようのない思いが渦巻きだす。 それを、紛らわすように俺はボフっと音を立てて布団に倒れこんだ。 「なんで…だろう。」 俺の声は空気中にこだまする。ギュッと握ったシーツにしわがよった。 「俺がつれないから、とか……いやでも、遊びに誘われたら絶対行くし。むしろ積極的だろ」 意味はないと思いながら自問自答していた。 「疲れてるだけだったとか?…いや疲れてんのと避けるのって関係ねぇだろ。ストレス、とか?…だったら俺以外にもやるよな…普通」 分りきってることだけど 「弱みを握られてる…!漫画じゃ、ないし。ありえないよな…」 [*前へ][次へ#] |