11 「りょーへー!!」 俺と涼が帰りの用意をして、いざ帰ろうとしたところ伊藤の涼を呼ぶ声が聞こえる。 「涼平。お前のこと、吉田が呼んでるぞ。あれだ、6組の…」 伊藤の顔は、これ以上ないくらいニヤニヤとしている 「話。あるんだって」 「あー。わかった行ってくるよ。悠介、ちょっと待ってて」 そういってカバンを俺に押し付けて涼は小走りで吉田(?)のもとへ向かう。 吉田は、可愛い感じの女の子だった。 「いいなぁ…もてるよな涼平って」 「まぁ、顔良いし。面倒見も何気いいかんな。でも、どうせ断るよ」 「なんで分るんだよ」 「なんとなく」 別に自惚れてるわけではないけど、涼はまた “好きな奴いるから” っていう気がした。 「ゴメン!悠介待たした!」 そう言って涼が戻ってきたのは、あれから20分くらいしてからだ…。 「なぁ…話ってアレだろ…」 「モテる男はつらいよ。」 そんな、事をほざく目の前の男に俺は「ウザ!」とだけいってカバンを渡した。 「あー。大丈夫だよ。俺は悠介一筋だから」 俺がすねてるとでも思ったのか、涼はニコッて笑って恥ずかしいことをサラッと言う。 「別に…そんなんじゃ」 「好きだから。あんなに遠回りしたんだぜ?これ以上ヒデェ男になりたくない」 だろ?って涼は困ってように言う。そんなしぐさに不覚にも愛されてるとか思ってしまった俺は、誰もいないことをいいことに言っやった。 「なんて、顔してんだよ。俺だって涼が、好き…だから」 涼は一瞬面食らったような顔をして、次には嬉しそうに笑った。 そして、涼は 「やっぱり、すげぇ好きだよ…」 と呟いたのだ…。 END →おまけ →あとがき [*前へ][次へ#] |