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「俺、最近おかしくて、お前が俺以外の奴と話してると、すごくイライアするんだ。伊藤にも、月城にも、龍にも…女子だって男子だって関係ない。すごく壊したくなるんだ。」

俺を抱きしめる腕の力が増す一方、
涼の声は弱弱しかった。顔は見えないけど、きっと泣きそうなくらいゆがんでるんだろう。

「それで…俺以外と仲良くするな…って叫びたくなる。どうしようもなく抱きしめて何もかも俺のものにしたくて、閉じこめたくなる。でも、それじゃダメだって分ってた。悠介は悠介だから。それに、これはすごく醜い感情だってのも分ってたから。」

俺は何も言えなかった、そんな事を思ってたなんてしらなかったから。

「だから俺はお前の“親友”としてあり続けることにした。その時、悠介に好きな奴がいるって聞いた。俺は予想してたより腹が立った。お前の“関係ない”にも。悠介がそんなに思ってる奴は誰だろう…俺がそいつになれたら…って」

あぁ…だから、あの解きの涼…おかしかったんだ。
モヤモヤとしてたものが溶けていく。きつく結ばれた糸がユルユルとほどけていくような気がした。

「気がついたんだ…。こんなんじゃ、悠介を傷つけてしまうって。何をしでかすか自分が分らなくて…俺はお前を傷つけるようなことしたくなかった。だから距離をとった。」

いつのまにか止まっていた涙。
たまった雫は、まばたきをするとポロッとこぼれる。

「そしたら、悠介は泣いてた。傷つけたんだ。あんなにも懼れてたのに、泣かせないようにしたのに、泣かせた。それでも、お前が俺に“好きだ”って言ってくれた。俺は言えなかったのに、お前は言ってくれた。すごく嬉しかったんだ。…ゴメン、俺やっぱ諦めきれてなかった」

涼の俺にからまる腕に力が入る。俺はその腕をギュッっと握り締めて目を閉じた。

「俺も…好きだよ。悠介が好きでたまらない…」

その涼の声は少し震えてて、だけど、すごく優しく響いたんだ…。
 

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