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その主人 嫉妬
おや…お嬢様
眠れないのですか??
では…少し昔話に付き合って頂けますでしょうか??

そうですね…

私が坊ちゃんの屋敷に執事として働き始めて1ヶ月ほどの事だったでしょうか…


『その主人 嫉妬』

日がのぼりきる少前の頃
執事の仕事に休みはありません
いつもの様に庭師を叱りつけて坊ちゃんのためにアフタヌーンティーを用意しようと戻ろうとしてた時の事

ニャー

あぁ…何て可愛らしいのでしょう
黒い毛並みに赤いビー玉の瞳。猫らしいスラッとして、隙の無いみこなし

「貴方は美人ですね…」

誰かに飼われているのでしょうか…
野生と比べてずいぶんと人懐っこい

「もう少しこうしていたいですが…坊ちゃんのおやつの準備が…」



チリリーン…。


刹那、微かに風に乗って鐘の音が響いた


「お呼びですね」

執事たるもの呼び出しに遅れるなどあってはなりません

「それでは…失礼」

植木をすり抜け裏口から主人の書斎へと足を急ぐ



コツッ コツッ コツッ コツッ



さてさて今度はどうなされたのでしょうか
あの我が儘お坊っちゃんは


「失礼しまs「遅い!!!!」」

書斎の扉を開けた矢先、少年の怒声が響く
廊下の大理石に反響して耳が少しキーンってなりましたよ
これでも全速力で来たのですが
まぁ、そんな事言っても無駄でしょう

「ご用件は??」

「休む!!!」

「おや…おやつには少し時間が早いのでわ??」

「30分しかかわらない!!それとも僕の命令に背くのか」

「いいえ…承知しました…ところでお坊っちゃん」

「何だ…」


「猫はお好きですか」

少し気になった事がありまして…

「……嫌いじゃない」

急にそっぽを向く坊ちゃんに、気になった事は確信へと変わる

「では…飼ってみるなど」

「僕は世話なんてできない」

「私がやりますよ??」

「なおさらダメだ!!」

なんて分かりやすい方だ
「嬉しいですね…」

「なにがだ」

坊ちゃんは少し紅潮した顔をコチラに向ける

「猫に嫉妬してくれたんですね」

「なっ!!!!?ち、違う!!してない!!!」

あぁなんて可愛い人だ

「そうですか??…では何故私が猫を世話してはいけないのですか??」

言葉に詰まる坊ちゃんの瞳はキョロキョロと定まらない
タブン図星だったのでしょう

「う…うるさい!!セバスチャン!!早く僕のおかしを用意しろ」


「…かしこまりました」


坊ちゃんは、フンッとそっぽを向く
素直じゃないのは今に始まった事ではないのですがね
でわ…早速お菓子を持って来なくてわいけませんね
…と、その前に


「坊ちゃん…貴男は私の全てです。御安心下さい」

「なっ!!!!」

「でわ失礼致します」

閉めるドアごしに頬を赤く染める坊ちゃんを見て
私は厨房へ向かった…


昔話に付き合って下さって有難う御座います
ね…??
私の主人は可愛らしいでしょう
この国でわ"ツンデレ"と言うみたいですね…

さぁ…お嬢様
今日は、もう遅い
ゆっくり御休み下さい




アディオス…



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あきゅろす。
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