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本当の敗北(銀←高←万)

[真選組動乱編その後]







真選組の壊滅は伊東の死のみの失敗に終わった。

(手柄無しで晋助のもとに帰る自分が少々情けないでござる…)

万斉は、報告のため(するものは正直ないが)晋助のもとへ重くなる足を向かわせた。



本当の敗北



高杉は窓の縁に腰をかけ、黄金に輝く満月を背景に三味線を弾かせた。
「で?何か手柄はあったのか?」
機嫌が悪そうに高杉は、愛用の煙管をふかせる。
「残念だが、特に報告するものは無いでござる」
万斉が正直に告げると、高杉はフンッと鼻で笑い見下ろすように万斉に目を向けた。
映し出されたのは、赤を滲ました包帯を幾箇所にも及び巻きつけた痛々しい万斉の姿であった。高杉は取り分け、それは気にしたわけでもなく
普通に会話を繋いだ
「それで、そんなにやられてきたっていうのか?」
高杉の細められた瞳には、相変わらず銀時から受けた生々しい傷口が映されている。
「あの白夜叉…いや、もはや亡霊か…あの男は強い。あの男のリズムには、どうしてもノリきれないでござるな。」
万斉は、はぐらかすように白夜叉の話題を出すと
途端に高杉の口元がつり上がる。
「…何だ?お前銀時と手を合わせてきたのか?」
先ほどとは,打って変わり嬉々とした高杉は万斉に近づき、これ銀時がつけたのか?と問いながら腹部の傷を細い指で流れるようになぞる。
一つ一つ辿る終わると本当に愉快そうにククッと喉を鳴らし肩をふるわす。
「テメェじゃ、銀時にかなわねぇよ」
「そうかもしれないでござるな…。」
「かもじゃねぇ。絶対だ。」
これまた嬉しそう言い放つと、スルリと女物の着物を揺らして立ち上がり。また窓の縁に腰かける。

(白夜叉の名を出した途端コレでござる…。妬けるでござるな…)

「晋助…。ちょっと今日は休ませてもらう。」

万斉は、高杉の返答を待たず部屋を後にした


その夜は、弾んだ三味線の音が月夜に響いたという。

(白夜叉には、当分かないそうにないでござる…)



end

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