お帰りと言えない(桂→高?)
暗闇に光る
一筋の淡い紅色
消えそうで壊れそうなのに…
どこか、強い
目の前で鋭い牙が銀に光った…
[お帰りと言えない…]
「銀時!!俺は先生の右腕になるんだ!!!」
「はぁ!!?何いってんのお前、無理だろ、んなちっちゃえ体してよ。先生を守れるわけねぇよ」
「っ!!い・今に見てろよ!!おっきくなれば、銀時だって追い越してやるんだからな!!」
「それこそ無理だな、右腕は俺がなるんだぜ」
「貴様等喧嘩するでわない!!!!」
「そうですよ…。ほら皆、外はもう暗くなる。寺子屋に戻りましょう」
「「「はーい」」」
松陽先生…
こんな世界滅んでしまえばいいのに
「ズラァ…あれみろ、銀時が来てる…」
「紅桜相手にやろってつもりらしいよ、クク…相変わらず馬鹿だな」
船の手すりに腰をかけ看板から屋根の上を見上げながら、そう笑いを零す高杉の表情は複雑なものであった
何も思ってないのか
はたまた、楽しい余興を眺めるがごとく心を弾ませてるのか
細く研ぎ澄ました瞳からは、どこか悲しさを見せてるようだが
邪魔する黒髪と白い包帯が俺が心を読むのを阻止せんとする
「あいつは、変わっちまった…昔の白夜叉、あの尋常ならざる強さが好きだったのにな」
「貴様とて変わっていないだろう」
「はっ…何いってんだ…俺は変わった。篝火みてぇな、大層なもんにじゃね…鞘に収まる事を知らねえ一匹の獣にだ。呻きを上げて全て壊す荒れ狂った獣だよ」
「それは違うな…」
行く手も抱えるモノも異なっていようが
平和へなり過去を忘れてしまった江戸を憎んでいようが
何になって何をしようが
一つとて、変わってないものがあるはずだ
「現に…貴様も持っていただろう…その本を」
「貴様は何とて変わっていない…昔と同じ先生に集った一人の餓鬼(こども)だ…俺はそう信じてる」
そう…信じてるいるから
「俺は変えるつもりはねぇよ…今の道を」
戻ってこい高杉
「貴様がそのつもりでも…俺はそうではない」
何故だろう
汚れを知らない高杉を戦場に入れてしまったのは
あぁ、何度でも叫んでやろう
「戻ってこい」
「もう…戻れねぇよ」
「これで、さよならとしようや」
あの時…
そう言った高杉の悲しい瞳は俺の目に焼き付いて離れなかった
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!