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後悔の戦争−四
昨晩の襲撃の後、傷の痛みを感じながら俺は倒れる様に眠った



早朝…―
小鳥の声が聞こえるにはまだ早く。
寝なおすには、もう遅い時刻
高杉は左目の激痛に目が覚めた。
ズキズキと痛み、焼ける様に熱かった
「この目はもう使いもんにならねぇな…」
一人静かな部屋に高杉ただ一人の声が響いた
「−−−。」
隣の部屋から微かに声が聞こえた。
静かな部屋だからこそ気づいた声―――。
何を話しているかはサッパリだ。
(アイツの所には人が来ても、こっちは無しかよ!)
隣の部屋…つまり銀時の部屋にまだ微かな声
別に羨ましい訳じゃないが、何かつっかかる思いが素直を邪魔する

また、廊下に盛大な足音
襖ごしに見える影は銀時の部屋の前で止まる。
あの、もじゃ頭…
(辰馬か…)
「ヅラァ!金時の様子はどうぜよ?」
(全部聞こえるし…)


嫌になる…何もかにも。
銀時に心配かけた自分も、途中で逃げ出した志士達にも
イラツキの中、僅かに嫉妬心があった事は高杉自身気づいてはいなかった。

廊下を歩く時の床のきしむ音が聞こえ、顔を上げた。
襖に映った長髪の影。
(ヅラかぁ?)
静かに横に動く扉に、高杉は思った
「何だ…起きていたのか?」
入ってきた途端、そう言われたので
「起きてちゃ悪いかよ…」
とはき捨てた
まだ左目はじわじわと激痛が走る
痛さに顔をしかめていると…桂は心配するかのように、
「かなり深くまで抉られていたが命には別状はない」
とだけ言った。
思い知らされた。
痛い現実

俺の片目はもう存在しない

片目


本当はそんな事どうでも良いだ

ただ、銀時を十分に見つめる事は出来ないんだ…

嫌悪感と憎しみ
全て滅びれば逃れられるか

「今度からは、銀時には右にいてもらわねぇと…

また見失う…」
不安…
違う。

全て壊してしまえば、そんな女々しい思いなど無くなってしまうだろうか
話が途切れて静かになると辰馬の声が聞こえた

『いい加減立つぜよ!!これが戦争なんだよ!!』

「戦争か…何故…俺みたいな野獣の居る場所に何であいつが来ちまったぁ?」
あまりにもあまりで笑いがこみ上げてくる。

桂に安静にしていろと言われて一人になった





「銀時ィ………





俺はまだ強くなるぜ」




そしてまた
笑みを浮かべた


―痛む左目は己の決意と誓い―







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