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後悔の戦争−参
昨晩の天人の襲撃で数人の志士達と高杉の片目を失った。

早朝…―

あの時、混乱していた銀時の様子を見に行きに奥の部屋へと向かう…
一番端の部屋、そこに彼はいる
とくに意味もなく足音を殺して部屋の前に立ち、襖を静かに開けた。
視界に銀髪が揺れる。
「銀時?」
部屋に入ったに気づかないのか、振向かない彼に声をかけた。
「………」
沈黙。
桂は困ったような顔をしてまた、話しかける
「銀時?大丈夫か?」
何が大丈夫かと聞いているのか自分でもさっぱりだったりするのが真実。
「…。」
やっぱり返答は無い

まいったな

会話が成り立たない。
どうしようかと悩んでいると廊下から足音が聞こえた

盛大な…

「ヅラァ!金時の様子はどうぜよ?」
「ヅラじゃない!桂だ!!」
即答否定。
このやり取りも慣れたしまった、自分に自己嫌悪。

「ずっとあの調子だ…」
走って息切れする辰馬に溜息付の一言。

「銀時っ!!」
彼の名を試しにまた呼ぶ
無視。
軽く傷づく。
それでも彼の悲しさを知っているから…
「しかたない…あんな事があたのだから…」
なんて強がってみる
辰馬が何か言いたげだったが言うのをやめたらしい
それから、一瞬考え込み。
「二人にしてくれ」
といわれた
 背筋が凍った
今までに無く鋭い気迫。
「わかった」
本当は焦ったりしてたが、冷静を気取って外へ出た

見上げた空は朝の霧で白くなっていた

ふと、隣の部屋の高杉が気になって様子を見に行く

 開けた襖の奥には上半身を起こした高杉の姿
「何だ…起きていたのか。」
「起きてちゃ悪いかよ…」
何時もの様に憎まれ口をたたく彼の左目は包帯が巻かれていた。
薄く滲む血が痛々しい。
「かなり深く抉られていたが命には別状はない。」
「そうかよ…」
高杉は左目に手をあてて、上を向いた
「でもアレだな…今度から銀時には右に立ってもらわねぇと…

また、見失っちまう。」

 静かになった部屋に隣から辰馬の声が響いた

「いい加減にするぜよ!これが戦争なんだよ!!」

「戦争か…何故、俺みたいな野獣がいる場所にアイツがきちまったぁ?」
そう言った彼の口元は小さく笑っていた
意味は分からない
知っていることは
 誰もが銀時を思っていて
 誰かが怪我すると銀時が心配するという事だけ

「高杉…俺は部屋に戻る。安静にしてろよ…」
一言伝え、部屋を後にした

これからは、あまり怪我はできない
「ハードルが高いな…」
桂は、もうすっかり晴れた空に苦笑を浮かべた

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あきゅろす。
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