【27/夢見心地】
プログラム内の上空を旋回するキュリオスを、敵MSがじわじわと取り囲んでいく。ハレルヤは眉間を寄せてモニターを注視し、近付いてきた一機を瞬時に切り落とした。
「……ちっ」
実戦よりも一拍遅れた自分の反応に、たまらず舌打ちを響かせる。それを聞いていたアレルヤは、不審そうにハレルヤを呼んだ。
――どうかしたかい、ハレルヤ。
怒涛のように向かって来るMSを、キュリオスのビームサーベルが次々と撃墜していく。
ハレルヤはアレルヤに「ああ」と答え、MSにサブマシンガンを突き付けてトリガーを引いた。
「もういい、やめようぜ」
突然のハレルヤの言葉に、アレルヤは目を丸くして「え?」と発す。それを言ったとき既に、身体は入れ替わっており、慌ててアレルヤは操縦桿を握り直した。
「い、いきなり何なんだ、ハレルヤ」
――脳量子波が使えねぇと、なんかよぉ。
「プログラム内なんだから仕方ないさ」
柔らかく笑うアレルヤに、ハレルヤは短く溜め息を吐いた。
(おめぇは何も判っちゃいねぇ)
ここはまだ、自分達の来るべき場所ではない。
ここは現実から逃げたときの、最後の拠り所だ。
(090610)
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