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日記ログ・短文◆new↑↓old
ディランディ×ハレで執事パロ(090220)

W執事(18)×ご主人様(17)
――――――

 黒の光沢を放つベンツ――自家用車が、至極一般などこにでもある私立高校の正門に停車した。ざわつく周囲からは感嘆の声に雑じり、悪態などが飛んで来ている。そんな声など諸共せず、助手席から降りて来た茶髪の彼は、後部席のドアをゆっくりと開けた。

「ハレルヤ」

 大きな手を差し出すが、その手が掴まれることはなかった。眉を寄せた男――ニール・ディランディは、まさかと思い片膝を座席に乗せて車内へ押し入る。そして目の当たりにした光景に、ニールは外だということを気にせず怒鳴り声を発した。

「ライルッ!! てめぇ俺が少し目を放した隙に……っ!!」

 固まったまま動かないハレルヤの腰を引き、愛しのご主人様と深く口付けを交わしているライルがそこには居た。ニールに叱られたことで、ライルはちっと舌打ちを鳴らしハレルヤから顔を放す。

「いちいちうるさいぜ、兄さん。ハレルヤは兄さんのせいでお疲れなんだから、充電だよジューデン」
「じゅ、充電もクソもあるかっ! 放せ、放しやがれ……っ!!」

 一つ年上のライルの腕の中で、パニックになったままハレルヤが暴れている。ニールは「ライル!」と再び声を荒げ、ハレルヤを開放しようと暴れている腕を引っ掴んだ。腕に触れられただけだというのに、ぼっと赤くなったハレルヤを見て、ライルはにんまりと口角を吊り上げる。

「ああもう、ハレルヤ可愛いぜ。朝からライルくん勃ちそう」
「ばっ、おまっ、死ね……っ!」
「ハレルヤ落ち着け! ライルの言うことをいちいち鵜呑みにするな!」

 朝から賑やかな後部席の様子を、運転席から刹那が呆れた表情で見ていた。年長者の刹那はハアーと長く息を吐き、本来気にしなければならない時間を腕時計で確認する。

「おい、あと三十秒でチャイムがなる。見てみろ、周囲で生徒が走っている」
「は……?」

 刹那はのん気に窓の外を指差し、校門を走り抜けていく生徒達を示した。ポカンした三人だったが、次の瞬間には弾かれたように車を飛び出して行った。

「遅刻したらライルのせいだぜ!」
「なっ、俺は悪くないだろっ!? 兄さんが昨日ハレルヤとヤんなかったら、寝坊なんかしなか、」
「てめっ、黙れってんだよっ!!」

 ハレルヤは反射的にそう声を上げ、踵を返すようにその場に踏みとどまった。そして声を大にして露もないことを言ったライルへ、鞄を持っていない右の鉄拳を思いっきり向かわせる。ライルは目を丸くして咄嗟に降参の両手をあげるが、完全にそれは手遅れで。

「今すぐ消えろっ!!」
「うわ、ちょ、ハレルヤッ!?」
「こッの、クソ執事が――!!」


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あきゅろす。
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