ブリキ少年と死神と魔女の少女
:2−3
「姫って、死神界のってことか?」
「いや、それはない。先代の姫は何十年も前に失踪した。多分もう骨になってる」
「あ、あー…だよな。つーか、パンドラだったら、一族全体を巻き込んで組織に引き入れて責任押し付けそう」
「あながち間違いではないよ」
え、何それ。
パンドラ怖いな。
にしても、そうか。
姫を探しているだなんて、まるでシンデレラみたいなご大層なことをして。
と、なるとなんだ。
俺らはパンドラの何らかの目的のために、その姫様を先に見つけなくちゃいけないってことか?
「第一段階で、姫を探すのが俺らの仕事か?」
「いや、それだと時間が掛かる。どんなのが姫なのか、基準がわからないからな。私的な提案なんだけどさ、一度パンドラ支部に乗り込むってのはどうだ?」
告げられた言葉に数秒固まる。
のり、乗り込むってオマエ…、また無茶なことを言い出したな。
この間、コイツがパンドラだったときの部下が来て、殺され掛けたときも無茶をして腕を破損し、死にそうだったというのに。
俺が助けたからよかったものを(心臓は食べ損ねました)。
じと目で朝を睨んで、口を開く。
「朝、」
「あ、もうこんな時間だ!俺先に行くね!まったあっとでーっ」
「あ、オイ逃げんなコラ!!!」
奴は、某お菓子屋さんのおさげのマスコットキャラクターのように、舌をペロッっと出して逃亡した。
何なんだ一体。
言い逃げしやがった。
しかもアイツ、地味に死神の力使って空飛びやがった。
止めろ、外は目立つだろ。
何だか苦労が重なってきた気がして、肩が重くなった。
学校に着いたら嫌がらせしてやる。
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