[携帯モード] [URL送信]

ブリキ少年と死神と魔女の少女













目覚めた俺と言えば、何の記憶も覚えていなくて、あるとすれば、脳の片隅にあった憎悪と途切れ途切れのこの映像だけだった。
それが今でも俺を、生かしている“心”なんだ。



ボロボロの姿の俺を心配して拾ってくれた、お人好しのじーさん達には感謝をしている。
だからこの恩もちゃんと返さないとなぁ、と考えながら今は過ごしているが、如何せん俺には常識も恩の有難さもワカラナカッタのだ。
“心”というのは不思議なモノで、あの日のおかげで、俺の脳内のメモリーごと抜き取ってしまったらしい。
だから困った。
生への執着が無かった。
水捌けするプラスチックの様に、全てを拒んだ、から。
だから俺は、


失った原因の奴等に代償を払ってもらうことにした。
今にも消えそうな、この憎悪を使って、死神を殺して、心臓を奪って生きるようになった。


死神を食べる、悪魔に似た怪物になった。


back

2/2ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!