ブリキ少年と死神と魔女の少女 :3−2 ************** 俺は決して力が強いわけではない。 戦闘能力は、通常の死神が持っている力の半分にも満たない程度で、どちらかというと人間寄りに出来ている。 だからと言って非力というわけでもない。 それなのにも関わらず、俺は死神を“食う”という行為をしてきた。 これを始めたキッカケは自分でも知らない。推測だが、奪われたモノを奪った相手から盗(と)ればいいと考えたのではないか。 世の中を理解し出した今では、それを子供の考えそうなことだな、と思う。 9年前の俺は、こうなることを考えていたのだろうか。 …いや、きっと考えてすらない。 生きることに必死で、ただ貪欲に貪り食ったのだ。 自らを生かすために、肉体的にじゃなく、自我を保つために。 そのせいで、稀にカラダが勝手に求めてしまう。 誰かの声が頭の中で響くかのように、目の前にある躰を突き破れ、貪り食え、と。 言ってしまえばそれは動物の本能でしかなく、俺は理性が備わっている【人間】(?)かもしれないのに、オカシナ話だと思っていた。 今でも思う。 ふとしたときに死神の臓器を求めて、酷く喉が渇いて仕方がなくなってしまうから。 本当は何者なんだろうと、心の片隅で疑問が渦巻いていた。 back next [戻る] |