冷たいのは心ではなくて(佐慶/ほのぼの)
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霜月の晦日。
すっかり秋を通り越し、冬の寒さが身に染みる季節になった。
甲斐では雨が降り、その寒さを煽っている。
そんな上田城の縁側で、慶次はぼんやりと暗い空を眺めていた。
「雲、切り裂けたらいいのになぁ。」
「慶次殿ならば簡単なのでは?」
「無理無理、自然にはさすがに逆らえないって。」
苦笑気味に返すと、慶次は一つ欠伸をしてまた空を見上げる。
その行動に、幸村は火鉢に息を吹き込みながらも微笑した。
「佐助なら任務に出ておりまする。」
「あ……そうなのかい。」
気付かれていた、という居心地の悪さから、慶次は何ともいえない表情をした。
いつも佐助は、自分が会いにきても素直に顔を出すことはない。(たいてい驚かされてからかわれるのだ)
今日もまた何か仕掛けてくると踏んで待ち構えていた慶次は拍子抜けして、ごろりと畳の上に寝転がった。
「それより、そのような所にいては風邪を召されるぞ?」
「大丈夫だって。ギリギリ雨も当たってないから……にしても、こんな日まで仕事してんだな、あいつ。」
ふと、この霧雨の中手裏剣を構え走り抜けていく佐助が頭に浮かぶ。
格好いい、という形容は最もかもしれないが、慶次からしてみれば、寒いんだろうなぁという懸念の方がそれを上回っていた。
「寧ろ佐助の方が風邪引きそうだよな……。」
「何か申されたか?」
「いや、何でも……。」
大の字に寝転がったまま、絡み付いてくる夢吉と遊んでやりながら、慶次は目を閉じる。
霧雨の静かな音と火鉢の中で炭が立てる小気味のいい音は、睡魔を誘うには十分だった。
「たっだいまー。」
「おぉ、戻ったか佐助。」
「うん。いやー参ったよ、向こうの方でも雨降りっぱなしでさぁ………あれ?」
慶次来てんの?と気配を察知して襖の奥を覗き込みながら言う佐助に、幸村は頷き、縁側の方を指し示す。
そこには、半刻前と同じ状態で慶次が眠っていた。
「佐助を待ってるうちに眠ってしまわれたのだ。」
「マジ?まるで子供だねぇ…。」
そうは言いながらも佐助の表情は、心なしかいつもより柔らかい。
歩み寄って慶次の頭を撫でる佐助を見て、先程のように幸村は微笑した。
「すまないねぇ旦那、暇だったろ?」
「そうでもないでござる。慶次殿の猿と仲良くなったのだ!」
呼応するように、幸村の手の甲の上で慶次の小猿がキキッと鳴いた。
犬猿の仲というのは虚実なのだろうかとその光景に笑いながらも佐助はよかったね、と声をかける。
「キキィー…」
「む?……腹が減ったのか。では、台所で何か貰ってくるとしよう。」
「キキッ!」
すっかり猿使いが様になってしまっている主人を見送り、佐助は複雑そうな顔をする。
ま、名前だけだし。と割り切って、眠ったままの慶次に目を向けると、ポタリと服から雫が落ちるのを感じた。
「やば……絞り切れてなかったかぁ。」
畳が傷むとため息を洩らす佐助にも気付かず、慶次は相も変わらず寝息を立てている。
火鉢で暖まった部屋と雨で視界が悪い寒空の温度差に、佐助は思わず身震いした。
「……こういうの、幸せっていうのかなぁ。」
ちょっと前まで知らなかったそれは、ひどく暖かいもので、
ここ最近、自分が優しくなったという噂を城内で耳にしたのを思い出し、クスリと笑って慶次を見る。
「あんたのせいだな、これは。」
どうしてくれるんだい?とおどけてみせながら、後ろから慶次の腕を引いて起き上がらせ、そのまま抱き込んだ。
「うわ、暖かっ………」
悪態をつきながらも、雨に濡れた体が暖まり出すのを感じて、佐助は笑った。
自分も相手もずぶ濡れになってしまうけど、暖かいならいいかもしれない。
四人分の蜜柑を携えて戻ってきた幸村お決まりの台詞が部屋に響いたのは、数分後のことである。
冷たいのは心ではなくて
佐助が来たときから実は起きていた慶次は、起きるに起きれないまま幸村の声を聞く。
もちろん、佐助はそれに気が付いていた。
END
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相変わらず意味不ー(泣)
冷えきった体暖めるには人肌が一番いいらしいです。
なんちゅう破廉恥なこと放送してんだ深夜番組!!;(じゃあネタにするなよ)
幸村は自分がする分にはいいんだけど他の人がしてるの見ると赤面するタイプ(笑)
佐助と慶次はしょっちゅう怒られます(約一名とばっちり)
英雄外伝やってたらホント話色々書きたくなった………あ、もちろんほの甘ギャグ傾向で(ぇ)
今日もこれからBASAります!!(テストは?)
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