お知らせ(イベント) イベント履歴(2021年7月〜8月) ・7月1日『信仰の行方』 私はときに疑問に思う。 信仰とは何か、と。 捧げられている側が望んでいる事を、捧げる側が本当に理解しているのかと。 もし理解しておらず、勝手にこうだと思い込んで信仰の形を定める。 供物であったり、祈りであったり、それは様々だ。 そして、本当に喜んでいるとは限らないのに勝手に信じる側が思い込みのままそれこそ正しいと決めつける。 果たして、どちらが主導権を握っているのか。 相手の事について考えない想いを信仰とは、私は呼びたくはない。 また、こういう話もある。 人々は恩恵さえあれば、信仰という名の利益と独善で何処までも残酷になれる。 対象が何であれ。如何なる意図があれど。如何なる存在であれど。 ・8月11日『陰呼天理教毒ガステロの顛末』 この時期になると、あの陰惨な事件の事を思い出す。 まだ黒の国の軍解散が尾を引き混沌の度合いが悪化して、弱者の心が一層窮し、迷い、寄る辺を求め。そんな弱者達を利用し私利私欲を貪ったカルト教団の信者が起こしたテロ事件のことを。 主犯と目されるのはまだ年若い少女――当時、身元調査の結果両親から虐待の末育児放棄されており、自殺未遂を起こしたところを利用する為に教団に拾われ、どうせ自殺するならばと唆されたものと推測される――と、中年男性――此方は調査の結果、今現在ですら珍しくない自らの能力と地位の差、理想と現実の差に納得がいかずそれを国が悪い、世界が悪いと教団の教えに染まった狂信者であった――の二人。いずれもこの事件を起こすと同時に死亡。 犠牲者は■■名。内、乗務員■名の犠牲。 ……用いられた毒物の凶悪さ。そして、乗り合わせた乗客の数からすれば『奇跡的に少なく済んだ』と言える。最悪、本来の計画通りならばこの機関車を毒物の貯蔵庫にしてレールを外れ都内へ突っ込み無差別散布する予定まであったのだから、此方は阻止されたことでそれ以上の被害もでていない。 無論、数字だけで命を語れない。 被害者は確かに存在したのだから。 そして、この事件の裏で一体何が起きていたのかも、今や当事者の死により語られることはない。 だが、私は覚えている。 まだ若く、希望に溢れてこの機関車の乗務員として働く道を選んだ若者のことを。 もう、彼女と会う事はできないことを。 この事件の後に彼の信仰心を道具にした忌まわしい教団は滅ぶ事になった。 だが、今でも弱者の心に付け入る者はそこかしこにいる。 願わくば、諸君らには決して自分の心、命は他者の心、命を軽んじる者に委ねることはないように。 そんな者には、誰かを救う事なんてできはしないのだから。 著者:ランドルフ・G・オーガスト [*前へ][次へ#] |