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お知らせ(イベント)
イベント履歴(2019年6月)
・6月16日〜『白き夏夜の神隠し』

青憐の和人形展開催と聞いて海を渡ったのだが、そこで最近妙な噂を聞いた。

曰く、夜に外を出歩いてはいけない。
夜に出歩けば、その人が再会を望んでいた、或いは望まざる死者が連れ去りに来ると。

よくある子供に言い聞かせる類の噂と言えばそれまで。夏の風物詩は怪談だからこういうのが出回っているだけならそれで良いのだが……

なに、先日の錬金術師殿の依頼にて、何やら青の国で失踪者が出るのだとかという不穏な予言があったと報告があったと聞いたものだからつい。

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ーーけれど、現実は小説より奇なり。
火の無いところに煙は立たぬ。
青の帝を始めとした上層部、護国団はこれをただの噂ではないと知っている。
だからこそ、民が不安がらぬよう今は真相を伏せている段階だが警備を厚く警戒を強めているのだ。

今、京では不可解な連続児童誘拐・失踪事件が発生している

手口が怪談じみたそれ、噂の通りだとでも言うのか失踪者の手掛かりは残されていないものの、何れも失踪者は直前まで何ら不審な点はなく日常を送り、忽然と夜に姿を消しているのだという。

何とか辛うじて現行犯を発見した者もいたのだが、その時発見したのはふらふらと幽鬼の如く彷徨う失踪者と、先導する白い怪であったとのこと。
曰く、白い蜘蛛のように見えたと。

目撃情報を元に白夢による仕業である可能性を疑うと同時に、京の妖怪は勿論鬼ヶ島にまで秘密裏に調査を行われた。
何でも京には蜘蛛の妖がいたとのことで嫌疑がかけられ、太極城に招集され尋問等も行われたらしいが、結果は白。

結局他にも取り調べがあった末に判明したのは、京の妖達は関与していないこと。
鬼ヶ島にでもまた、失踪事件が起きていたという事実。
しかし鬼ヶ島の妖怪、鬼は何も検討がつかない訳ではなかった。
否、青の帝、黄龍と言った一部の鬼ヶ島の本来の役割を知っている者達は知っていた。

神隠し。

重い溜息と共に吐き出された、鬼ヶ島に住まう古参の鬼が漏らした言葉。

鬼は、この島の由来たる恐るべき御山を見上げ、硬く口を閉じた。
山は変わらず静かに佇み、里と海と、海の向こうの都を見下ろしていた。

果たして、山に秘されし災いと白夢、それらに何の思惑があるのか。

現在、山は更に厳重に立ち入り禁止とされ、鬼ヶ島内でも頭領を始めとした封印の存在を知る一部の者だけが調査を行っている状況だが封印が解けている形跡は無いもよう。

ただ、何者かが立ち入った形跡があった為、犯人の特定が急がれている。


ーー一方、銀の国、黒の国、翠の国。
これらの国でも青の国に渡航した者が一部そのまま失踪したという報告が挙がり始める。

加えて、失踪した子供の親がギルドや騎士団、自警団、親衛隊等に相談をし始めた事で最初はただの事故か誘拐事件か何かと考えられたそれが段々もっと根深い問題であると明らかになり、先日各国から代表が選出され情報共有。

青の国を中心に起きている異変の解決に政府及び民間組織間、中には失踪者と親しい等の理由で個人的に解決へと動き出す事となった。

だが、人々の努力を嘲笑うようにーー今宵もまた、誰かが連れ去られる。


著者:ランドルフ・G・オーガスト


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