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登録名簿
石守之天紅(イシガミノテンコウ)/浸海の依代
HN:絹豆腐(きぬとうふ)

名前:石守之天紅(イシガミノテンコウ)(但し、依代の名に過ぎない)

性別:女性(但し、肉体に限る)

年齢:不明(外見年齢三十路頃)

種族:神族(但し、依代にされた影響で心身に変容をきたし純粋な神族と呼べなくなってりる。また、元々依代となった存在が鵺と呼ばれる妖怪から神族へ昇華した経緯もあって神格としては低かったもよう。)

身長:175cm

体重:60kg

容姿:濡れ羽の鴉の如き艶を帯びた墨黒髪は右に流した前髪に左右もみあげは長く鎖骨の位置まで伸びていて、左右にはそれぞれ右には太陽を喰らう顎を開く狼が描かれ、左には洛陽を踏みつける狐が描かれた金細工の髪飾りを付けている。先端に近づくにつれ深海の濁流の如く波打ちうねり、先端は内側に巻く形に癖がついている。

額には一本の紅角にも見える鶏の薔薇冠が生えている。

耳は狐あるいは狼に似た大き目の三角耳が備わっている。

涼しげを越えて冷酷、冷淡な印象を与える他者を見下す切れ長の双眸は紅色。

肌の色は元は東において標準的な体色であったが現在は薄っすら白く血色悪くなっている。

細身の体躯には朱色の着物を羽織り、帯紐の代わりに金の腰鎧、草摺を巻き付けて胴の下に垂らしている。衿ははだけ胸元が開かれているが、膨らみは薄い。

着物の上から肩に光射さぬ深海の暗黒を思わす地面に引きずる長さの外套を羽織り、肩口から左右に龍の落涙を象る藍の宝玉を中心にあつらえた飾り鎖で一本、肩鎧同士からも伸びるもう一本の飾り鎖で繋ぎ止めている。

外套の肩部分には肩から上腕部を覆う金の大波を模した波模様を描かれた大袖の肩鎧を括り付けている。

着物から覗く足は黒の足袋を履いている事と、背後を覆うように伸びた長い八本から成る黒尾羽の存在が窺える。

依代とされた影響で腕は白蛇の要素であった白かった肌は青ずんだ黒に変色している肌、部分的に天然の鎧として保護する同色の変色・変異した元が蛇鱗であった龍鱗に覆われた手指の爪は鋭利に伸びている。


性格:依代となった神族の人格は神の遣いとして自らを律し、礼節を重んじ、驕りと我欲を捨て去り、善因善行を努め、ヒトと神を繋ぐ橋渡しとしてヒトにとっても神にとっても恥じぬよう戒める厳格さと同時に遣いとしての職務の外で覗かせる私の部分は面倒見が良く愛情深いものであり他者の成長と成功を純粋に喜び応援することができる献身的なもの。

――けれども、依代としてその人格、意識、魂は殆ど圧倒的力と意識に呑まれ千々となり、微かに繋ぎ止めた欠片を深層に深く沈めて機を待つより他はなく。

憑いた存在の人格はおおよそ依代とは別物。一滴とはいえども外に出る事が叶った己自身と、己が大元と同じく世界の大敵たる竜帝と応龍以外の全てを見下し、価値の無いもの、本来の支配者たる己が眠っているうちに汚らしい小島という名の塵を浮かせそこに住み着く虱子も同然であり、己が海に断りもなく住み着き繁殖する生命達も己が呑むべき美しき海を穢す屑と見做している程の傲慢さ。命を無価値だと唾棄するが故の冷淡さと冷酷さ。

但し、憑いた存在の基準で言うならば神ですらヒトの範疇に過ぎず、即ち塵同然と見下す対象ながらに依代は神族というヒトであり、その記憶や心身の影響を少なからず受けており大元の浸海の竜帝と完全に同一の人格とは言い難いものに成り果てているのが現状。

分霊、別れ、憑いてしまったことで別のモノとなり、ヒトの人格を得た、得てしまったというのが正しい。――それは即ち、眠れる大元の浸海の竜帝からすれば塵(ヒト)と同一に成り果てたものと見做され、見下される側へと零落しているということに本人は気付けていない。
武器:

【日蝕剣・逆刻針】(にっしょくけん・ときしらず)

依代となった神の遣いが以前より愛用せし太陽神の加護を受けし輝ける陽を象徴せし日輪剣。であったもの。大御神の代理、代弁の証明としての役割が大きい。

けれども世界の大敵たる陰の水が憑いた影響で変異を遂げてしまっており、日輪の輝きは蝕まれてしまいかつては陽の光を湛えていた刀身は無惨にも深海の暗黒も同然に黒く染まってしまっている。

紅鶴の嘴の如き片側のみ反る独自の形状をした鍔から下の柄は燃え盛る焔の如き日輪を模した円飾りを取り付けられており、構えた際にはさながら背後に日輪を背負ったかのように映る。この武具の形状としては不便でしかないことからもこれが武器としての機能を求められていないのは明白。

元は有していた振るいし一刀にて陽光の焔にて邪悪と不浄を焼き、傷つく者に施しの浄めの陽を授ける、日輪の陽を見せる事で人々の心を侵す暗雲を払い導く等といった本来は斬り捨て命を殺めるものでなく浄め、救い、癒し、教導するといった重要な権能は憑いた存在にしてみればあまりにも下らぬ価値が無いものであった為使うどころか機能自体喪失させられてしまい、一振りの魔刃へと堕ち果ててしまっている。

けれども元が神剣、憑いている存在の力のほんのごく一部にすぎぬとは言えども世界を呑む為の力たるそれを乗せて振るっても折れず、欠けずに済んでいるのは他ならない元の剣が優れた業物であった証拠に他ならない。――本来の用途とかけ離れた使われ方をした魔刃の一振りは、極端に言えば激流、大渦、波濤そのものにして深海の圧力を伴うものであり端的に言えば刃の形状をした切り取られた極狭の暗黒海。故に、一振りは青の国が誇る武傑ですらも耐え、避け、いなすのが困難を極める程に極端に速く、鋭く、強い。

余談だが、依代となった神の遣いは他にも幾つか『風神より授かりし神風を起こす打鞭』、『火神から授かりし火を噴き飛翔を可能とする二連火輪』、『楽神より授かりし聴いた者の精神に混乱をきたす黒琵琶』等といった武具を持っていたのだが黒姫との闘いにおける敗戦によってそれらが全て使用不能となってしまっており残されたのが唯一大御神から授かりしこの一振りのみという惨状であった。あったのだがこれは逆に他の神器を利用されないで済んだとも言える。

属性:天、陽→水、海、陰


能力:

【神域具象化・高天ヶ原(しんいきぐしょうか・たかまがはら)→浸域傷化・嵩禍之海原】しんいきぐしょうか・たかまがのうなばら】

依代にされた神族本来の場合、これは元が妖なれど魂魄を磨き高め続け神の遣いとして認められた者として許された普段は現世と幽世の狭間、青の最も高き山という物理的でなく特定の自然気象と時期が重なる事で条件を満たした時にのみ道が開かれる高天ヶ原の風景の一部を切り取り地上、自身の周囲へ具象化させる領域展開の神儀。

これは道案内、導く役目及びに切り取る一部によっては許可を得れば一時的に大御神との対話を取り繋ぐといったヒトと神の領域を繋げ対話と意思疎通、空間の共有を可能にするといったもの。

一応、これを攻性的に利用した場合。神族以外立入を禁ずる領地へ無理矢理引き込む事による強制的な神罰、枷を嵌める事による空間を維持する間の弱体化を与える事も可能であったがこちらはあくまでも本来の用途ではない為依代となった天紅はこのような使い方で軽々しく神域を呼びだし、利用するのは神の遣いの恥として使うことはなかった。

――依代とされてしまって以降は性質が変化。繋ぐ先は高天ヶ原ではなく、封じられた浸海の竜帝が眠る大海原の荒れ狂う海上と絶えぬ豪雨雷雲猛風の猛威振るう大嵐。無数の破壊された宝貝船が漂流し形成された残骸。即ち、かつて己を封印した七代目応龍ら、清龍ら竜宮城の勢力、大御神率いる神族ら、当時の護国団といった面々と対峙していた忌まわしき記憶を基に形成された過去の風景。

もしくは、浸海の竜帝が理想とする眠れる今夢見る自分以外の生命が存在せず海の全てを呑み自分自身こそが大海そのものとなった静寂と静謐が訪れた終わりなき凪が訪れし完全なる青の海。

この夢海より力の一部を取り出し、海を刃に乗せている。

つまるところ、日蝕剣とはこの海を乗せるものであり、空間ごと切り裂き傷を作る事で海を体験させているということ。

神とヒトを繋ぐための具象化の力は今や傷化、『世界を傷つけ、都合良い領域へと浸食する』という力へと変貌しているとも言える。

これを応用することで刃に限らず器に利用すれば一切の予備動作さえ存在しない疑似的な縮地の如き間合い管理や依代の限度を超えた膂力を発揮する事等も造作ない。

また、空を裂く事でとめどなき奔流を呼び出す、逆に空を裂いて向こう側へ呑む事による害の無力化も可能。

これらはほんの一滴ですら海と呼ばざるを得ないほどに膨大な力であるが故に成せる世界の大敵たる竜帝の力を証明するもの。

同時に、別存在となってしまったからこそもう二度と帰れなくなったが故の夢ともいえる。

【神響・常世之長鳴(しんきょう・とよこのながとり)→浸凶・世海之永凪(しんきょう・せかいのながなぎ)】

天紅本来の場合、これは日輪昇りし刻を誰よりも早く常世へと知らしめる早鳴の一声にしてこれに自身の神通力を乗せた場合は日輪よりの神の遣いであるという名乗り口上にして威迫の役割を果たし心魂弱き者であれば威光を借りる形で神の遣いの威声を聴いたことによって平伏、心理的優位を取ることができる。

変質した現在、これは強大な言霊に近い性質へと変貌を遂げてしまい、『黙れ』との一言にてその場から凪の海の如く音が消失し、『平伏せよ』と告げればその場に大海の圧力がのしかかる形で空間の圧力が急激に高まり圧し潰さんとする。

つまり、聴かせている対象は空間、世界。ヒトではないのは、『塵(ヒト)には己が声を聞かせるだけの価値すらない』と見下しきった価値観が故。そして、空間が竜帝という各々が自ら司る力で世界を壊し塗り潰す性質を持つが故に一部に過ぎずとも世界が従う形となることで生じる現実改変現象。

神の遣いが何故人間に聴かせているのか。人には日輪の輝きが共にあり傍に寄り添い、見守り、共存していくものとして間違っても見下し、従えるものなどでなく、人こそ重要であると伝える為の力であったというのに、浸海の価値観では人間も神も同じくヒトであり塵共が勝手に定めたものや群れ成さねばならぬ弱き命に意味も価値も無いものだとして変質してしまっているということである。

【神武・善因善果天罰覿面(しんぶ・ぜんいんぜんかてんばつてきめん)→浸不・悪因悪果海罰覿面(しんぶ・あくいんあくがかいばつてきめん)】

神族に伝わる武術の流派の多くを修めてきた神族の中でも指折りの武芸者でもあった天紅は会得している剣技の中でも取り分け『一対一』かつ『初見』である前提において必殺性が高く、同時に試練として使うものがあった儀礼的要素も含んだ技。

性質としては完全なる迎撃特化の一閃であり、居合の一種。対峙者の悪意、敵意、害意に反応する専意一閃。行動さえ発生するよりも先、相手の意に先じて反応し神速の居合にて両断、これを以て天罰とする代物。

試練、儀礼的なものであると説明があった通り、これは『高天ヶ原へ至るに足る人物かどうか』、『腹に一物、獣心を抱えた者であるかどうか』見定めるものでもあり相手が手を出したくなる程の剣意と闘気を発し一触即発の空気を作り出し、その上で相手が畏れ無く心の平静を保ち、この構えの意味が相手を斬るものでなく意図を察し剣を納める事ができるかどうかという試しの意味こそが本質。

現在。技という性質上、他のものと違い変異変質というのは違う。言うなれば、神の遣いが修めた武芸の数々は誰かを殺す為、切り伏せる為でなく全てが国と神と人とを護る為、自らを礎にする献身のものであるという本質こそが重要。

であるが、憑いた意思にしてみれば技というのがそもそも矮小な命が非力を補う為に使うものという大前提から始まり、刀にせよ技にせよ弱い爪と牙しか持たぬ命が代用するものでありそれをさらに補う小細工という考えでしかない為本質への理解以前にそもそも武、技ですらない。武に通じる者、天紅の神の遣いとしての誇り高さを知る者にとっては許し難い冒涜。

ただ、器に残されていた記憶にあるこの脆く使い勝手の悪いヒトの体では満足に浸海の力を使えないから使ってやる程度の認識で、有り余る力を背景に結果だけを再現しているにすぎない。

結果、生ずるは魔刃一閃。


一部分とはいえ浸海の竜帝を前に愚かにも歯向かう塵を一掃する為だけの剣はただただ冷酷に命を奪うだけの魔剣でしかない。

弱点:

神族といえど価値観に基づけば矮小なヒト、そんなものに縛られるという致命的な弱体化、力があくまでも一部分でしかない為本来のそれと比べ物にならない規模でしか力を奮えないこと。さらには制止に入った伽藍の決死の一打によって外傷を受けているにも関わらずその傲慢さ故に一切それらを省みていない為弱体化したまま、本来の姿の感覚でこんなものは傷の内にも入らぬと依代の身には到底軽視できぬ負傷を放置し続けていること。

また、意識の奥底に依代となった神族の意識の欠片の存在に気づいていない、気にも留めていないこと。


これら全てを合わせれば、通常は弱体化して尚人も妖も神も獣も龍も等しく塵(ヒト)でしかなく全て青の海と共に呑み喰らわれるだけでしかないが特定の条件と戦力を満たせば勝機を見出すことも可能な範疇まで力が落ちている。


所属:青の国

職業:神の遣い→浸海の依代

二つ名・異名:神鶏→古の波濤

恋愛:不可

裏行為:可

備考:依代は神々が住まう天上の神域、高天原より遣わされた元は妖怪・鵺であった神族。

鵺という妖怪というより、様々な怨霊、無念が集い個と成った魑魅魍魎であったのだがある神により調伏、知恵と教義を教わり改心。以降長い年月を経て心身、魂魄を磨き上げた末に神族へと昇華した後天的な神族という特異な例であった。

その様な経緯があるからか誰よりも自分に厳しく、神族として自らに求める基準も人一倍神一倍高く率先して苦難を求め、乗り越え、他の神族に認められるように、そして地上にも己のように最初こそ世に悪意を撒くような荒御魂であったとしても変われるのだと証明しようとしてきた。

また、その為か後輩への指導も大変厳しく、指導を受ける側からすれば不評であったとか。


この度、天之迦久埜とは別に遣わされ、逸早く青の国の異変と元凶を突き止め万全の態勢で呪的障壁、心理迷彩等駆使して乗り込んだものの常時発動し襲い来る認識汚染の網より逃れきること敵わず対峙までは叶ったものの消耗しきった状態で認識を歪められてはまともな戦いになどなる筈もなく神器の殆どを失った末に敗北。しかし、神族はやはり侮れないという警戒心と、少なくとも本陣に居る限りは敵ではないとはいえども万が一に備えてより戦力を集めておく必要があるとして予てより計画していたものに神族の器を依代にすれば使えるであろうという見積を立て、ついでにいえば黒姫にとって逆らって刃迄向けられるまで辿り着けた存在へ死ぬより恐ろしい目に遭わせてやれという昏い報復の為に殺されずに捕縛される。

そして今回。予定とは違ったが結果的に黄龍が国土呪殺兵装を未完成品といえども破り、返した事によって生じた数世代に渡り土地を汚染し穢すほどの呪怨の四散と衝突の余波は少なからず周囲に影響を及ぼすものであり。

その余波は元から少しずつであるが着実に夢から現へ浮上しつつ意識に比例し深海に眠る浸海の竜帝の封印が一瞬綻び、そこから予てよりこの東の海に存在するという龍も神も鬼も恐るるに足らずという海の災厄の存在を暇潰しに代々青の帝に伝わる伝書を読んでいた際に知った黒姫がその才能故に呪殺兵装を返されるという予想していない展開にもタダで転ばず一瞬の隙を逃さず微かに漏れ出た力の一部を喚び出し、捕縛していた神族を依代にして降臨。

予定では先に依代に施していた呪的制御により命令に忠実な一部とはいえ竜帝の力を振るう最強の兵士になる筈であった。また、元から言動に反して石橋を叩く程の慎重な性格である為、島の四聖に反する真の護国聖獣、四凶と名付けた大妖怪の躯を基に作り上げた最高性能の傀儡四体に加え護国団千人長伽藍を儀式の場に同席させ万が一に備えていた。のだが――竜帝という存在を単なる力の強い竜、生物の延長でしか認識していなかった時点でそもそも万全である筈もない。

浸海の一滴は、それだけでも青の海を脅かし命という命が滅び去るには十二分に足る。

最高傑作であった四凶はあえなく惨殺され、一騎当千の無双者であった千人長さえ一蹴され、『身の程知らずにも利用しようとした』『眠りを妨げた』愚かな雌狐をそのまま殺そうとしたが白の断章として読まれるだけの呪術者である黒姫の呪的制御は全く意味がなかったわけでなく術者への危害行為に不快感を覚える程度の感覚と、青の国の外へ出る事への抵抗感――その裏には依代となった神族が、このまま野放しにしてはならないと深層意識から抵抗していたのもあるが――を覚え、やはり鬱陶しいから術者を殺せば解決するだろうと考えるものの武を窮めし一角たる伽藍より決死の一閃により手傷を負うことに。
この傷は深かったのだが、感覚の違い、所詮ヒトの抵抗と蔑ろにしているせいで癒せるというのに未だに癒していない。

その隙に黒姫が呪的拘束を強めながら、けれども本能的にこのまま命令とか上下関係を結ぼうとすると次は殺されると確信し、咄嗟に読物に記されていた封印に立ち会った者達は現代もこの青の国に居る、そして自分は彼ら彼女らと敵対している旨を説明。

精神的拘束の影響もあるが、本体の封印を完全に解くこと、あの時己を封じた名のある塵共を先に解決してから他の竜帝達の下へ赴き真の世界の支配者、竜帝が誰であるか力を以て問うのを後にしても良いかと結果的に表面上は共闘、不愉快な神族などというヒトの身では満足に力が使えないことは先の戯れで判明した為に黒姫の言葉を受け入れ利用してやることに決めた。

――既に自分がヒトと蔑む依代の影響を受け、本来竜帝が用いない刀を振るい、技の真似事をし、意志持つ厄災であり一時は封印される憂い目にこそ遭ったが塵共にこだわる理由なんて全くなく早々に海の底に沈めれば良いだけだというのに、そんな塵共を個として認め留まる理由にしてしまった等、ある意味において自らもヒトとなってしまっているという事実には気づかずに。

確かに大海の一滴は一滴ですら大海であるが、大海からすればヒトという穢れを帯び濁った一滴などなくとも大海には何ら影響はなく不要なのだと、無自覚にヒトへ堕ちてしまったが故に気づけぬのは皮肉か、。


PC挨拶:――下らん。何故、貴様ら如きに我を止められると思い上がったのだ?
(冷たき雨天を裂くように、景色を切り取るように、漆黒に染まった刀身が空を滑る。悪意の伝達者、悪風の神獣、凶悪頑迷なる剛武、悪食暴食の大口。一柱だけでも武に長けた神族数十、四聖及び十二聖を相手取れる怪物達として造り上げられた現代に甦りし人造大妖怪達がその力を満足に発揮することも敵わずに意味成さぬ肉塊と血雨となって塵積もっていく。何故、真の災厄たる竜帝を前に小賢しい知恵を弄して作った紛い物でどうにかできると考えたのか。一人だけ、どうやら殺し損ねたらしく動く者がいるがどうでも良い。血糊さえ流し拒まれ付着することなき黒刀を、艶を帯びた黒髪と黒尾羽を靡かせ冷淡に怯えを隠せぬ仔狐の前へ向かう。今頃になって過ちに気づいたところで遅い。無礼極まるこの愚か者を殺した後は、さてどうしようか。勝手に眠れる本体からこのような醜く脆弱なヒトの器に窮屈に押し込められた怒りは到底命一つで晴れるものでないが、竜帝に対する畏怖を忘れさせてしまった他の竜帝達の現状を見て回り、真の竜帝とは誰が名乗るに相応しいか覇を競うのも悪くないか。思考は目の前の小さな、よく見れば奇妙な気配が混じる仔狐の不快な戯言から違うものへ向けられていたが、まだいたのか、と興味薄く呟いてから刀の切先を迷いなく喉元へ――)

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あきゅろす。
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