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「プリンセス」


胸の中のいやな気持は払拭できないまま。一人遅れて礼拝堂に入ると、赤の世界が広がっていた。サンセットライダーでも対応できない炎の量だ。どうするか、目の前の現状に慌てていると、ステンドグラスを突き破ってタキシードの男と小さなセーラー戦士が現れた。

「先に行くわよ、」

ウラヌスだってネプチューンだって、保護対象なんですもの。一言述べてから、ユージアルを追いかける形で走る。

「エリスちゃん!」
「セーラームーン急いで!」

すこし、広まった部屋でユージアルは待ち伏せた。空気は緊張感に包まれている。背中に冷たい空気が走り鳥肌立つ。戦うためにいる戦士は、戦わなければならないのだ。きつくサンセットライダーを握りしめて眉をしかめた。どうしても隣にいる戦士は守らなければならない。どう出るののかは、よくわからない。これだかた頭の立つ女はきらいだ。

「強がりか?お前の必殺技を前に私は、防御しているのよ。覚えていらっしゃって?」
「…たとえ、この身が砕けようと、そのタリスマンは取り返してみせるわ」

赤い炎と桃色の光線が激しい攻防を繰り広げている。それをただ見つめるしかない私は、サンセットライダーを大盾に変えていつでも守れるようにスタンバイする。

「さぁ、セーラームーン覚悟するがいい!」

待ちなさい。鶴の一声さながらの新たな介入者が現れた。深緑の髪をした、静かな戦士セーラープルートが、「これが、最後のタリスマンです。タリスマンはあなたたちの様な邪まなものには渡しません」と言い放つ。共鳴するように、プルートのタリスマンがウラヌスの宿していたタリスマンが。ネプチューンの宿していたタリスマンが現れて、静かに光を放つ。ゆっくりと純粋な心と分離して物の持ち主の元に戻る。

「扱うものの力によって、聖にも邪にもなる無限の力を持つ聖杯です。」
「聖杯は私が貰う!」

勢い付いたユージアルがファイヤーバスターをかざして、赤の世界をつくる。盾を素早く展開して、聖杯のもとに走る。奪われてはいけないもの。そう認識して、走る。大きく地を蹴り、聖杯に手を伸ばす。わしづかみにして、勢いよくセーラームーンのほうに投げた。あとはどうでもなれと、思考が走った。
光あふれる、セーラームーンを懐かしいと思える。懐古感に襲われて、私はそのまま眺めていた。翅の様な布をつけて。優しく微笑むその姿は、まさに彼女こそ私が待ち望んだ。

「プリンセス」

そのものにしか、見えなかった。



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あきゅろす。
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