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全力を持ってお相手してあげる。


「ん?」

星が告げてくれる。なにか、異変が起きていると。異変に気がついてサッサと台所仕事を投げ出す。お父さんは、夜遅く帰ってくるから、こんな時間に家を出ても問題はない。買い忘れ、だとか、友達の家の明日の予定だとかの話し合いだと言えば、すんなり通る、育児放棄の家だ、問題はない。財布をポケットに突っ込んで、家のカギを閉めて、街中を歩く。戦う声は聞こえても戦う場所は見当つかない。どうすれば、私は守れるだろうか。前世の使命を、果たせだなんて、どういうことだろうか。使命を与えられても、私は私だし、変わることはない。変わることはめんどくさい。流されるように生きていけばいい。家の家訓に近い自訓にしている。

「大丈夫よね。」

私は私。不和はじめだもの。戦って、平和にしたら今までの様な生活にもどれるのよ、きっと。朝起きて、ガッコ行って。笑って帰れって家の飯よ。自分に言い聞かせながら、夜の街を歩く。夏に近いこの空気を、まといつつも、肌寒さを覚える。嫌な予感しかしない。この使命のために戦っているが、誰も傷つかないでほしい。祈る様に、街中を走る。うん。きっと明日も筋肉痛だ。もう。この筋肉痛さえなければ、毎日戦士をしたっていいのに、面倒な体だ。街中で逃げ惑う人はいないから、きっと別のところねlじゃないと今頃おおさわぎしているでしょうし。うん、きっとそうよと、自己完結を迎えて、ない、胸騒ぎは気のせいだと断定する。うん、きっとそうよ。そうじゃないと、そう言い訳しないと、自分がまよってしまう。何も起きても不思議じゃないが。それも、気のせいよ、きっとね。そう言い聞かせて、街中を歩いて行くと、月野さんが飛び出してから追いかけるようにセーラー戦士がビルから飛び出してきた…予感的中。っていうか、月野さん戦士と知り合いだったのね。奴ら、ついに動き出したとでも言うのだろうか。ため息をついて、路地裏に入り込んで変身してそのあとを追っていく。方向は…東京タワー。

「なにが、起きようというのかしら。困ったのもね」

唸りながら、東京タワー方向に歩みを進める。どうせ、何か向こう側の策略が待っているだろうに。嫌な予感は本当にあるんだと後悔しながらも歩みは迷わず進んでいく。歩んでいくなかでも、月野さんがセーラー戦士なのかしら、と思考が働く。もう、なんだかなぁ。セーラー戦士の歩みが止まった。なにか、あるらしく、ひと悶着起こしている。問題なく、歩み寄りながら、サンセットライダーを呼び出す。白銀のボディに黒いラインが走った銃は、問題なく動作して、空に二三発ぶっ放す。そうしたら、音に気付いて四対の眼と猫たちが私を見る。うん。シャッターが閉まって登れないと言いたいのね。

「階段で行くわよ」
「どいてちょうだい、強制的にあけるわよ。」
「セーラーエリス。」
「無理よ、正面には強い結界が張られているわ」
「大丈夫よ、結界だって弱点があるもの」
「これぐらいなら、壊せるわ」

サンセットライダー!
カチャリと安全装置を外して、構える。視線を集めて、いるのは全く気にしない。

ブースト!
サンセットライダーの銃口に光が集まり、増出していくのが目に見えて解った。

セット!
なおも低くかがんで、目の前のシャッターに焦点を合わす。大丈夫だと思えたところで、次の動作にかかる。

ファイア!
迷うことなく引き金をひいた。光の弾丸が、シャッターに刺さって、穴をあけた。

「行くけど、あなたたちは?」
「行くにきまってるじゃない。」
「勝手にすれば。」

冷静で戦わないと、守れるものも守れなくなる。思考を、落ち着かせながら、深呼吸。戦うんだから、しっかりしないと、守れなくなるわ。静かに、シャッターを通り抜けて、エレベータの上昇に身を任して、目を閉じる。緊迫した空気の中に、セーラーマーキュリーから質問が飛んだ。ねえ、セーラーエリス、あなたは、何を望んでいるの?と。やはり何か聞かれたか、頭のいい子は好きだが、答えるのはいささか面倒に感じられた。

「さぁ、私は戦うための戦士よ。気にしないでちょうだい。」
「気にしないでって、仲間だろ」
「私は、超外部の戦士よ、あなたたちとは違うの」
「超外部?」

上昇中の会話は、沈黙が流れそうなほどの会話であった。そう、超外部。外からほかの銀河系から侵入する敵を排除するための戦士。孤独、それから、争いの戦士。戦うための、戦士を守るための戦士よ。言いきるとタイミングよくチーンと、階の扉が開く。

「あんたは、あたしの逆鱗に触れてしまったのね。」

かつり、と床を叩きながらサンセットライダーの使用した後の銃弾を捨てる。床に、カランカランと音を立てながら、鉄の音が鳴って、とりあえず一言放っておく。面倒だもの。常套句に設定しておこう。うん。「太陽系のセーラー戦士は保護対象なので、全力を持ってお相手してあげる。」と




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あきゅろす。
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