2011金造誕歩いて帰れ!(志摩家姉)
「んー。京都の空気はうまいわー!」
欠伸をひとつしながら新幹線を降りる。久々の日本に帰ってきたのでついでに帰郷。家に電話をかけると一番下の末っ子が、その辺りに一人いるからそっちにまわす。っていう文言をいただいて、帰りのアシ・・・むしろぱしりゲット!と小さくガッツポーズしてガラガラキャリーと紙袋一つを握って家から一番近い出口に向かう。
最近は研究ばっかりで引きこもっているので、冬間際の空気が寒々しい。ブーツの間の素足が風に当たって痛い。
「お姉。」
「廉造のアシって。なんや。金造だったかー。」
「なんやねんな。」
「いんやー。頭黄色ぅなって、なんかあったんかなー。って?」
あぁ、せやった、これ、金造に。
ほいって渡せば慌てて彼が受け取る。割れたらどないするねんお姉とか文句たれたので奪い返す。じゃあ、廉造にでも渡す。と放てばゴメン嘘!俺の!
「わかればよろしい。誕生日。はやいけれど。」
「…俺今日やで。」
「嘘や。だってこの手帳・・・一年前やわ・・・」
「お姉、あんま変わってないなぁ」
「・・・そうやろか?」
この小ささも相変わらずやわ。なんて言われて頭を撫でられる。結構不服なんだが。ここで相手の機嫌を損ねるとかえる手段がなくなるのでそこは我慢して頭を撫でられることに甘んじて、あとでし返すと決める。
「ほら。はよ帰ろ。今日雨来るで。」
「ほんとー。こっちの天気予報見るの忘れたわー。」
車、こっち回してるから。荷物貸して。と荷物をすべて奪われて、がらがらひかれていく。いや。それ割れ物だから扱わないでね。というのも遅く壁にぶつかってぐっしゃぐっしゃにる音が聞こえた・・・。
「・・・金造くーん・・・?」
「・・・げ!・・・」
「・・・なにさらしてるんや?われ?」
「お姉!勘弁!」
「お前の小遣いじゃ買えんもん持ってきたのにー!どアホぅ。私帰るから!金造、歩いて帰れ!」
歩いて帰れ!
(んな。お姉殺生な!)(知らん!家用のおみあげ、お供えモンにしてからお父に渡して金造以外とくったるねん!)(お姉!)(あ?)(坊みたいな形相でにらまんといてーな)(ほな、歩いてかえってな。)(お姉無免許ー!)(祓魔師ならあるでー。)(違う。車!)
[*前へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!