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20110704志摩誕
あつー。だれる様な暑さと戦いながら今日も祓魔塾へと急ぐために校舎の中を走る。いや、ちょっと眠たかった6限目を眠ってしまって、終礼が終わっても起こされていない現状のであって、そして、運悪くたまたま日直があって、日誌が書ききっていないのである。悪いのは自分だ。隣近所の席に座る同じ塾の子(先生だが)を責めるわけでもない。

「急がないと、雪男ちゃんの授業に遅れるじゃない。もうっ」

そんな言葉を吐きながら、急いで人目のない廊下をめがけて走る。鍵を使ってみられるのがいやだから、奈々恵はこうして、人目のない場所を選んで逃げるように廊下を走って…みられても困るので、早歩きで階下の階段を下りる。後十分で雪男ちゃんの授業、なんて思うあたりがブラコンなのか。はたまた、別の感情なのか。それはわからないが、奈々恵はまっしぐらにいつもの扉を目指していた。…違う、職員室に行かなきゃらないんだ。そうだ、手に持った日誌すら忘れて、自分の頭を呪いたくなった。時計を確認する。残り5分。がんばって、ぎりぎりかな。と思考をめぐらせていると、不意に声をかけられた。細身の背の高い同い年そうな男の子がそこにいた。

「あれ?奈々恵さん?」
「…えっと…志摩くん。だっけ。」
「せや、奈々恵さん。そんな急いでどうしたん?」
「塾に行こうと思ってただけど、日誌を提出してなくて。」

そこで、志摩君は理解して、あー。今から走っても間にあわんなぁ…。と言葉をくれる。間に合わないのは十二分に承知だけど、弟の授業は聞いておきたい、身内として。でも、日誌。と悩んでいると、彼は私の腕を取り、ニカリ。と笑って、こういう。よっしゃ、奈々恵さん走りまへん?。一番早い近道しってるんですわ。という天の救い。…いや、天の使いは私ですけどね。でも、それでは彼に悪い。申し訳ないな。と思案していると、「走ればギリギリ間に合うやろし、ほら…」もごもご言葉尻を濁したのを聞いて、奈々恵は首をかしげた。ごめん、聞き取れなかったからもう一回言ってくれない?と聞けば、なんでもないで。と返事を返してきて、一言「今度、一緒にお昼どう?職員室までの道案内代で、」なんて言い切られた。
むしろ、それは決定事項のように話が進んで、職員室まで道案内を彼がしてくれた。…なぜか歩いて。
つまり、結局彼も私も雪男ちゃんの授業に遅刻。二人とも怒られるのかな。何て思っていたけれど、なぜか志摩君だけ怒られる結果に陥ったのでした。


廊下は走るな
(志摩くん、この間はどうも。)(奈々恵さん!いやー、奈々恵さんとお昼一緒にできるやなんて、ほんま夢見たいですわ。)(口が達者ね!)(本心やねんけどなぁ。)

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あきゅろす。
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