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大好き、けど意地悪(切千)



正確に言うと。

俺はあの子が大好きです。
いい子だし、俺よりテニスが上手で、選抜にも選ばれて。しかも笑顔が可愛いし、でもたまにクールになったり怖くなったりけど、そこもまた格好よくていいし、先輩の言うことを聞いてるみたいだし、テンパだし、可愛いし、愛しいったらありゃしない。


「そう思うよねぇ越前君!」

「いや、どちらかと言えば怖い…」

「…トラウマかぁ」

「うるさいッス!」

「まぁまぁ落ち着いて」


というわけで、俺は立海大附属中の「切原赤也」君が大好きなのだ。

「俺が、なんすか?」

「わ」


越前君をなだめていると、背後から不機嫌そうな声が聞こえた。おもわず振りかえる。

そこには、眉間にしわを寄せた当の本人が、ラケットを肩に担ぎながら立っていた。


「どうしたの切原君。不機嫌だけど」

「あんたたちが俺の話をしてたっぽいから、何かなって話し掛けただけっすよ?言いたいことがあるなら本人に言えばいいんじゃないっすか」

「君の悪口を言ってたんじゃないよ」と、慌てて返すと、ちらっ、と越前を横目で見た。したら、目をそらされた。

「あ、俺グラウンド100周してこよっ」

「越前君!?まっ、」

「じゃっ」


逃げられた。いやむしろ、二人っきりにしてくれた?…それはないな。
俺はもう一度切原君に振り返る。すると、ギロッ、と睨まれた。自分が嫌われていることなんか、嫌われてる自分がよくわかる。切なさでため息が出た。


すると、壁に押しつけられた。


「えっ、何!?切はら…ん…んん……はぁ」

「感じた?」


耳元で囁かれる。いや、それ以前に、キスをされた。深い方の。いきなりの展開に俺はとりあえず顔を赤くしながら、間近の切原君の顔を見つめた。

うわ、かっこいい。

「切原君」

「なんすか?」

「…わざとやってるでしょ」

「さぁ?何のことやら」

「………」



正確に言うと。

俺はあの子が大好きです。
いい子だし、俺よりテニスが上手で、選抜にも選ばれて。しかも笑顔が可愛いし、でもたまにクールになったり怖くなったりけど、そこもまた格好よくていいし、先輩の言うことを聞いてるみたいだし、テンパだし、可愛いし、愛しいったらありゃしない。


けど、でも。

「意地悪にもほどがあるよ」

あ〜あ、これからまだまだ彼に振り回される予感。




「大嫌い、けど可愛い」の千石さんver。



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