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炉心融解(牙)



街灯が窓から差し込む。月明かりも空から落ちてきて、どれがどちらの光なのかは分からない。眩しくてうざったい。

ぽたっ、ぽたっ、と点滴の液は体に入っていく。飽きたから、腕に刺さっていた針を抜いて、点滴をひっくり返した。袋の液体が跳ねて、手にかかった。
ひどく冷たかった。



眠くない。
時計を見たら午前二時。真っ暗だった。でも、次に見たときは午前七時。月明かりも街灯の光もなかった。世界が光に包まれてた。

飯は食った。でも、胃がキリキリして、結局戻した。でも、キリキリは治らなかった。



暑い。ベランダの向こうから、階段を昇る音が聞こえる。床が空の模様をしていた。まるで雲の上。でも涼しくない。真夏の熱に犯される。

なんで?ねぇなんでだよ?
真っ赤な夕日が世界を照らしていて、万華鏡みたいにキラキラくるくるまわってるのに、反対では闇が闇が侵食してくる。あぁ、ここさえも、融けるように世界が死んでいく。






「はっ」

変な夢、見た。自分で自分の首を絞める、けったいな夢。俺は、額ににじんだ汗を手で拭く。そして、傍にあるサイドテーブルの上の給水機から、水をくんで、喉を慣らして飲んだ。

ふと、時計を見る。もうすぐ午後一時だ。


「あ、やべぇ。ナルト達くるな」

俺はサイドテーブルの上に散らかった、こっそり買ったお菓子の袋やらゴミやらを片付けようと、少し体をサイドテーブルに近付けた。

すると、ズキッ、と腕が痛んだ。みると、一ヶ所青く腫れあがっている。


「いって…いつこんなとこに、」


サイドテーブルとベッドの間の床に、点滴スタンド、点滴の袋と中身が落ちていた。なんで?俺がいつ点滴をした?

「あ…」



ナルト達は来なかった。何故ならみんな消えたから。ケシタカラ。





「はっ」

起き上がると、外は真っ暗だった。点滴の針は腕にちゃんとついていた。胃がキリキリする。

オレガ イナキャ ミンナ シナナイ?



俺は点滴の針を抜いた。邪魔な点滴スタンドを手で倒す。点滴の液がちった。腕に掛かった。
立ち上がる。すると、目の前がチカチカした。赤色のチカチカが視界を覆う。世界がくるくる回る。暑さで汗がにじむ。月明かりが体を照らす。窓から街灯が見える。窓を開ける。サイドテーブルにのる。

俺は、サイドテーブルを足で蹴ると、窓から飛び降りた。最後に、
泣きそうな顔で、叫んでいるように口をぱくぱくさせたシカマルと、体を揺さ振るナルト、口元を押さえたサクラ、顔をそらしているサスケ、いのに体を預けて泣いているヒナタ、ヒナタの頭を撫でているいの、眉を潜めて口を小さく開けて俺を見ているシノを見た気がした。








あきゅろす。
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