白い部屋(鹿牙)
傍に寄らないで。
触らないで。
見ないで。
ピアノの音が世界を支配する。
白しかないこの世界が、俺の世界だから。
「一緒に行こう」
「いやだいやだいやだ。行かない」
手を差し伸べないで。
もう構わないで。
独りにして。
壊れたピアノの音が世界を支配する。
白しかないこの世界でいい、出たくない。
「キバ」
「シカマルっ、」
突き放して。
指を差して嗤って。
惨めすぎる。そういう目をして。
優しくしないで。
抱き締めたりしないで。
暖かいのは大嫌いだから。
「だったら、何度でも。何度でも言ってやる」
「好きだ」
「好きだよ」
「大好き」
お願い。優しくしないで。
シカマルを抱き締める力が自然と強くなる。それに比例するように、シカマルの力も強くなる。涙が出そうになった。
ピアノの音が世界を支配する。
やっぱり、俺には白しかないこの世界が、一番合っているんだ。
「キバ?」
「……」
だから。さようなら。
「でも、俺も好きでした」
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