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あぁ、切ない(鹿牙)


公園の木の下。
大きく伸びをして、空を見上げて、目一杯息を吸い込むと、キバは大きな声で叫んだ。

その声の振動のせいかしらないが、木の葉が、ガサガサッと揺れる。キバは少し悲しそうな目をしながらまた地べたに座り込んだ。


「うるせーよキバ」

不意に声がどこからともなく聞こえ、キバは首をキョロキョロとさせる。すると、「上だ馬鹿」とまた聞こえ、指示どおりに上を見上げる。
すると、そこには木の上で寝転んでいるシカマルが、手をひらひらさせていた。

「いたのかよシカマル」

「んだよその言い方。いちゃ悪りーのかよ」


「いたら悪りーんだよ」と、キバはシカマルに呑気に返すと、座った体勢からそのまま木に寄り掛かった。
シカマルは、いつものキバだけど、いつものキバじゃない雰囲気を感じると、少し黙り込んだ。

沈黙のあいだ、遠くから聞こえるアカデミー生徒の楽しそうな笑い声と、チュンチュンと鳴く小鳥の声が世界を包む。


すると、シカマルが「なんかあったのかよ」とキバに問い掛けた。しかし、キバは無反応。シカマルは眉間に皺をよせる。

「おい、無視すんなよ」

「別にいいだろ。どうだって」

「よくねーから言ってんだよ」


また無言。こういう場面でキレたらいけないとわかりつつ、シカマルの苛々は蓄まっていくばかり。
しかし、冷静でなければと思い、シカマルは音をたてないように深呼吸すると、スタッ、とキバの横に降りた。


「話したくなけりゃ話さなくてもいいが、話したくなったら言えよ。ダチなんだからよ」


シカマルはそう言うと、立ったままキバの横で木に寄り掛かって目を伏せた。
内心恥ずかしいこと言ったな。と思いつつも、シカマルはただ黙って腕を組んでいた。

その横でキバも目を閉じると、悲しげに眉毛をハの字にして、ギリッ、と下唇を噛み締めた。








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