AB!
夢の中の貴方に恋をする
夢を、見る。
それは変わらない夢。
それは幸せな夢。
それは、夢であり俺の過去。
それは、俺の過去であり俺じゃない奴の過去。
正式には、前世の記憶
けれど、本当にそうなのか?と思うほど今と似ていた。
幼なじみの仲村ゆりがいて
(夢ではリーダーだけど)
恋人の立華奏がいて
(夢では敵だけど最終的には和解する)
後輩の直井文人がいて
(夢では少ししつこい。そして副会長だ)
友人達がいて
(夢では仲間たちだ)
こんなにも似ているのに。
いないんだ。
"あいつ"が。
最初は気が付かなかったんだ。幸せすぎて。でも唐突に気付かさせられた。
"あいつ"がいない と。
"あいつ"を認識してから、今俺のそばにいる奴の夢は徐々に見なくなっていった。今では"あいつ"の夢しか見ない。
そして、思い出す。
"あいつ"と俺は夢(きおく)の中では恋人同士だった事に。
俺は夢の中の"あいつ"に再び恋をした。その夢を見た日、奏に別れを告げた。奏は少し悲しそうだったけれど
「そう、思い出したの」
と呟いて嬉しそうに笑った。
ああ、奏は知っていたのか"あいつ"の事を。
一気に"あいつ"が現実味を増す。"あいつ"も居るはずだ、ここに、この世界に。
"あいつ"を、探した。
空色の髪も
暖かな笑みも
俺を嬉しそうに呼ぶ声も
はっきりと記憶にある。
だから、直ぐに見つかると思っていたのに、全く気配すら感じれない。
会いたい
話したい
こんなにも求めているのに
どうして見つからない?
「どこにいるんだよ、日向」
未だ見ぬあいつを思う
10/08/19
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