最果て
08 離(ナルトside)
『うぜぇ』
痛かった。手も、心も。
「っ……」
ひりひりと赤く染まる手を握りしめて、俺はぐっと堪えた。
ひどい、と叫んでしまいたかった――
無言の視線を置いて、去ってしまうサスケ。
あまりにも冷たすぎる態度に、俺はこの上なくショックを受けた。
そんなに、俺のことが嫌いなの?
いっしょの空気を吸うだけでもおこがましい?
初めて、全力で否定された。今までとは違う剣呑さで、ひどく邪険な瞳で―――
「っ……」
どうしてか、なんて。
バカな頭で考えてもわかんなかった。
もうすっかりと食欲もなくなって、俺はのろのろとオムライスにラップをかけた。ああいっそ捨ててしまおうかとしばし見つめたが、それすら面倒くさくなった。
苺を冷蔵庫に入れることも億劫で、洗い物すらせずにに二階に上がる。
母さんに怒られるかな、と思ったけど、どうでもいい。
そのまま薄暗い部屋に着くと、電気もつけずにベッドに飛び込んだ。
毛布をかぶる。
ピンクの小花柄の、薄いソレ。
ずいぶんと昔に、母さんが買ってきたもので、サスケとお揃いのやつだ。
まるで女物みたいだから嫌だーってふたりでぶうぶう言ってたっけ――…
「……」
俺は隣の壁をじっとみつめた。この向こうにサスケがいる。
……なあ、サスケ。
俺たちはもう、あの頃には戻れないのか?
ずっとこのまま――?
「っ……」
そう考えると、果てしなくて、怖くて、悲しくて、涙がぼろぼろ溢れてきた。
声を出さないように唇を噛み締める。
俺、いつからこんな泣き虫になったのかな……
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