焦る攻め編 Rival!!@(オリキャラ居ます) 「あ、あの…さ。俺と付き合って、くんないか?」 「え?…どこに?」 「へ…っ?ぇと、人生??」 「は…?人生…?」 「いや、っていうか、…だからその! 俺の、彼女になって欲しいんだ!!」 え、 「えぇっっっ!?」 [Side山本] ツナが。ツナが。ツナが。 最近なんかおかしい!! 「ツナー、なぁツナーー」 おい気付けこんにゃろう。 気付かねーとくっちまうぞ。マジで。 「ツーナっ、おいってば!」 「ふぇっ!?あ、山本ごめん、なんの話だっけ?」 「まーた聞いてなかったんかよーー。 いい加減傷つくぜーオレ」 「ごっ、ごめん…」 只今、休み時間。 最近ツナは、考えに耽ってることが多い。 「ふぅ、タバコの一つや二つ、購買においとけってのあのクソババア…。 あ!遅くなってしまい申し訳ありません十代目!! 野球バカに気分を害されたりなさってませんかっ?」 「いや、別に普通に喋ってるだけ…っていうか購買部にタバコあったら大問題だからね、そこは理解してあげて」 「はいっっ、十代目がそう仰るのなら!!」 「獄寺ぁ、タバコは体によくねーぞー?」 「てめーに気遣われるほどやわじゃねぇ!」 いつも通りに休み時間を過ごし、チャイムと同時に自席へ戻る。 しかしオレの心中は穏やかではなかった。 ツナを悩ませる原因はなんなんだ…? 授業に集中できるわけもなく、オレはツナを見つめる。 この席はツナがよく見えるから好きだ。 ツナはよく授業中寝てるから、それをからかったりするのも好きだった、 のだが。 最近ツナは居眠りをしないで、始終そわそわとしている。 今日もまた、例に漏れなかった。 すると、だ。 ツナが、ぴくりと肩を震わせ、ある方向を凝視し始めたのだ。 それは、もう片方の棟の廊下だった。 オレ達の学校は東棟と西棟にわかれていて、生徒の教室は東棟にある。西棟には職員室やら理科室やら社会室、図書室、調理実習室…などなど。 空き教室なんかも多いから、職員室がある棟のくせに、屋上に続くサボりスポットだ。 オレの席からは、ツナと西棟が同じ視野に入るので、ツナが何を見ているのかがすぐにわかった。 (あれって…C組か?) ツナの視線をたどると、そこには理科室にいるC組の連中が。 しかし、ツナがなぜC組に反応したのだろうか。 再びツナとC組のほうを見ると、理科室の窓際に座っているやつがふいにこちらを向いた。 否、ツナの方を。 (バスケ部の…平岡、だっけか?) 自慢じゃないが、オレは視力がバカみたいに良い。目ぇ悪くなったら野球で困るしな。 自主トレのときは、必ず遠方凝視をしたり、ジョグの間も周りの景色に注意したりして動体視力を鍛える。 平岡はツナの方を向くと、それはそれは嬉しそうに笑った。 (…え、あいつら仲良いんか?) 平岡は、チラリと前を見て、教師が板書をしているのを確認したあと、 なんと、ツナに手を振ったではないか。 (な…っ、) 少し驚いてツナを見ると、あろうことか、ツナは満更でもなさそうだ。 困ったような顔をしつつも、少し照れたようにはにかむ。 んで、ツナも平岡に手ぇ振り返しやがった。 (おいぃぃぃっ!!何うれしそーにしてんだ、すっげぇ可愛ーじゃねーかよっ…じゃなくて!) これは確実に自慢だが、オレは少なくとも学校のある日はツナと同じときを過ごしている。 唯一いっしょにいないときと言えば、オレが部活の時だ。 何が言いたいかと言うと、オレはツナが平岡と話しているのを未だ嘗て、一度も見ていないのだ。 つまり…平岡はオレのいない放課後に、ツナと交流を深めていると…。 ……オレのいない間…、 なんつーか、嫌な感じ… 「あーっ、むしゃくしゃする!」 「うるさいぞ山本ー!!さっきからブツブツなに言ってんだ!」 がしがしと頭を掻きむしった瞬間、教師がチョークをオレに投げつけながら怒鳴った。 オレはチョークに集中して顔の前で受けとる。 バキッ あ、強く握りすぎた。 「ありゃ、オレずっと声に出てました?」 「あぁ。そして俺のチョークを受け止めるとは流石山本、あっぱれと言いたいところだが授業妨害はやめろ。寝ていてくれたほうがまだマシだ!」 クラス中が笑いで包まれる。 端から獄寺がしたであろう舌打ちが聞こえるのはさておき。 「はは、すみません」 まいったなー、と頬を掻きながら座る。 ツナの方をちらりと見やると、ツナもふふ、と笑っていた。 ちくしょー、お前のせいだっての。 ま、ツナは悪くないし、笑顔が可愛いからいんだけどよ…。 オレがツナにニッと笑いかけたとき、教師が今度はこう言った。 「ついでに沢田。友人と仲良くするのはいいことだが、授業中に手を振るのはやめろよ」 「へっ!?あ、はいっ、すみません!!」 マジかよー、彼女か?、誰に振ったんだよ、など様々な冷やかしが聞こえる。 あちゃー、気の毒に。 「許してやるから、この問題解いてみろ!」 「ひっ、えっと、3?」 「沢田。俺は英語教師だ。ちなみに答えは"Mike is."な」 どっと笑いがおこる。 ツナは顔を真っ赤にしてすみません…と俯き、座った。 あ、耳まで真っ赤。 かわいー… ツナまじかわいすぎる。 喰いてー…… と、そこまで考えてハッとし、平岡の方を見た。 あいつ…っ ツナ見て雄の顔してやがる! (多分さっきオレもしてたと思うが) やっぱあいつ、ツナのことそういう目で見てやがる… 心中穏やかでない状態で、授業は終わった。 昼食時間になり、オレとツナと獄寺は屋上で弁当を食べる。 いつも通りの昼休みだったが、 オレは自分の笑顔がひきつっているのではと内心ヒヤヒヤしていた。 放課後。 部活が終わった。 「腹へったぁぁぁ!山本、なんか食い行かね?」 部員の一人が声をかけてくる。 「あー…、オレはパス!他のやつと行ってこいよ」 「んだよノリわりーなぁ、珍しい。どうかしたか?」 「いやー今日さ、親戚がこっちに帰ってきててな、うちの店に来るってんで親父が張り切ってんだ。手伝いもあるしよ、帰んなきゃいけねー」 わりーな、と笑う。 ほんとは違う。 親戚が来るのは一週間後だ。 ただ、今はこいつらと騒ぐような気分じゃない。 「なるほどな!親孝行おつかれさん。また今度行こーぜぃ」 友人は少しも疑うことなく去っていく。 今はこの潔さが有り難かった。 帰路につくと、オレはとぼとぼと歩いた。 今日は教室の電気が消えていた。 ツナは居残りとかじゃなかったようだ。 「はぁぁぁ…」 平岡とツナはどんな関係なんだ? ツナは話してくんねーし、オレがみる限り獄寺もしらなそーだ。 オレは悩んだらすぐ行動に移して解決するか野球してスッキリさせるかのどっちかで済むタイプだが、こればっかりはツナに聞く勇気もなければ、野球でスッキリもならなかった。 (…と、アレ?) 角を曲がると、10m程先に、 見慣れたハニーブラウンの頭がふわふわと上下している。 楽しそうな笑い声付き。 おまけに、 「ひら、おか…」 横には、オレの悩みの種がいた。 ☆つづく☆ [*前へ][次へ#] [戻る] |