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アーユーマイン?
8

行き付けの本屋に着いて、しばらく雑誌の立ち読みをしてから目的の本の精算を済ませた。

「奏太、もう買う物ないの?」
「ないよ」
「あ、俺ちょっとトイレ行くわ」
「俺先店出てる」
「了解ー」

待ちに待った最新刊が入った袋を抱いて店を出た…が、なんか居る。赤い髪、銀髪、金髪、それぞれカラフルな髪をした明らかに不良が出入口前で談笑してます、怖…
目を合わせてはいけないなと全力で思いながらうつむきがちに通り過ぎようとしたが、肩に触れられる感触。恐る恐る振り替えれば、にっこりと美しい微笑みを浮かべる赤髪のお兄さん。びくっと肩を震わせる俺を見て不良三人、笑う。

「んな、ビビんなよー」
「いじめんなって」
「ねえ、何買ったのー?エロ本?」

三人が何かを話しているが恐怖で理解できない。完全に面白がって絡まれてる。俺はひきつった笑顔を必死に作る。やだなやだな、この後カツアゲとかされるかも…恐いよ…
その時、すっかりビビリ上がってしまった俺の耳に聞き慣れた声がするりと入ってくる。

「何してんの」

あぁああ咲人!!よくぞ来てくれた!!

「さ、咲…」

「奏太の知り合い?…には見えないけど」

咲人は低い声で言い、俺の肩を抱いている赤い髪のお兄さんを冷めた目で睨み付け、俺の腕を引っ張る。お兄さんから引き離された俺は勢いで咲人の胸元にボスンと顔を当てた。
……ちょっとおぉおお!!咲人、お前何して…助けてくれたのは有り難いけど、こんな柄悪い、ザ・不良トリオにそんな態度取って…俺、殴り合いの喧嘩とか無理だから!というか咲人も危ないかも!喧嘩なんてしてるとこ見たことないし…

「なんだ、ツレ居たんだ?…あれ、お前なんかどっかで…」
「…俺も思った」

赤髪と銀髪が超こっちを…というか咲人をガン見してる。やっぱ咲人恨み買っちゃったんだ…嫌だよ、親友がボコられるとこなんて俺見たくない…。無意識に咲人の制服をぎゅっと握る。

「さ…咲人」
「奏太、大丈夫だから」

無表情で言って俺の頭をポンポン叩く咲人。本当に大丈夫なのか!?俄然不安なままちらりと不良トリオを見ると、何だか小声で話し合ってる様子。どこか表情が曇っている気がするんだけど。

「おい…咲人って…あの?」
「な、それは無いだろ…」
「でも…」

「あの人が青高(あおこう)の制服着てるわけねえって」
青高ってのは俺らの高校、青練(せいれん)高の通称だ。

(なんだろ、この人たち咲人のこと…知ってるの?)
ヒソヒソ話している三人を俺が不思議そうに見ているとき、耳元で咲人が「行こう」と小さく言い、俺は腕を引かれるままその場を離れる。三人は俺たちを見詰めてはいたけれどこれ以上絡んでは来なかった。ふう、安心。

「さっきのやつらさ…咲人、知り合いなの?」
「…ううん」
「…そっか」

な、なんか若干空気が重たい…

「あー、超ビビったし」
「なんかされた?」
「大丈夫、ありがとな」
「うん」
「まじ不良怖え、トラウマなるわ」
「…はは」

一件落着、だけど。
何かが少し心に引っ掛かったままその日は終わった。



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あきゅろす。
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