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アーユーマイン?
28

部屋の中が、しんと静まり返る。

空気がとんでもなく重たい。

こんなシリアスな話を、波瀾万丈な咲人の過去を知らされて軽い言葉なんか掛けられない。

咲人は更に続ける。

「俺ね、預けられた従兄弟の家でも何処か馴染めなくて。家に帰りたくなくて夜中に外をうろついていることが多くなってさ、悪い意味で目立つ格好のせいでよく不良に絡まれたんだ。なんかやられたりやり返したりしてるうちに余計にケンカが強くなって」

「…怖えよ」

「えへへ。でね、あの日…奏太と初めて出会ったあの日は、従兄が買い物に行きたいっつって連れてこられて、たまたまこっちに来てたんだ」

「そうなんだ?お前地方出身だしな」

「ここ、俺の地元と比べるとずっと都会だからね。人多いし、俺にとってはすげー苦痛だった。しかもケータイと財布落とすし、まじ最悪だったわー…奏太に会うまでは」

う…そんなに幸せそうに微笑み掛けないでくれ。

「そっ…か。なんか、不思議だな。あん時俺が咲人の落とし物を拾わなかったら…てか咲人が落とし物をしなかったら、今俺らは一緒に居ねえし、お互い存在も知らなかったんだろうな」

「うん。あの時の自分に感謝だよ」

おお…なんだか空気が和んできた。正直ほっとする。俺、シリアスな雰囲気苦手だし。

「奏太、わかってくれた?…俺、あの日から本当に奏太のことが大好きになって…それで入学式の日、奏太はまた、俺の落とし物を拾ってくれたよね?」

「ああ、確かそうだったな。懐かしい」

「それで確信した。奏太はやっぱり、俺の運命の人だ。って」

心臓が、ドキドキとうるさい。
けして咲人にときめいている訳ではない。
ただ、まじで凄いと思う。色んな偶然が重なって俺らは出会って、しかも再会した形は、初めて会った時とすごく似ていて。

本当に、いつどこで何が起こるか分かんないなって興奮してきたんだ。


なあ、咲人、俺たちさ。
本当に、本当に凄い親友になれると思う。


運命共同体っていうか、上手く言えないけどある意味俺らは運命的な出会いっつうのをしたんだ。


だからさ、だから…咲人とはずっと親友で居たいよ。





2.色を変えて行く end


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