アーユーマイン？
27
それからも良いことなんてありやしなくて。
俺は自分が、人並み以上に見た目が良いのは自覚している。
てゆうか、イヤでもさせられた。
だけど、それで良かった事なんて全然ない。
小学生の頃はよく痴漢をされたし、中学に上がってから告白されて、丁寧に断ったら次の日から「顔だけ男」呼ばわり。
お前は何を期待していたんだって感じ。
所詮外面しか見られてなかった。
その内勝手にファンクラブだか親衛隊だか訳わかんねえものも作られて、騒がれて。
ジャージやリコーダーが消えたり、盗撮されたり、ストーカー被害なんてしょっちゅう。
真面目で大人しいと思ってた女の子に突然「王子様、私と一緒に死んで」って言われて殺されそうになった時もあった。
嫌な思い出だ。まじ怖かった。
俺を気に入らない一部男子からの嫌がらせとかもあった。しかも直接的な物ではなく、上靴に画ビョウとかノートにカッターの刃を挟むとかの陰湿なもの。机に「死ねヤリチン」って彫られたこともあったわ。
なんかもう、そんなことが積み重なって、耐えられなくなってきて。
そしていつしか、他人の視線が嫌になってきた。
擦れ違う見ず知らずの人達にジロジロと無遠慮な視線を浴びせられると、息苦しくなる。
ある日俺は、周りに綺麗だと持て囃される元々色素の薄い茶色の髪を真っ白に脱色した。
伸ばした前髪で目元を隠して、マスクをしてしまえば顔なんか見られない。
ピアスを沢山開ければ、不良扱いされて人も寄り付かない。
今まで嫌がらせしてきたやつら(めんどくさいからほっといていたけど、流石に嫌気がさした)
「人が少し大人しくしてたからって調子乗んなよ」って少し殴ってやったら次の日から学校に来なくなった。
嫌がらせは消えた。
相変わらず女子はうるさかったけど、直接話し掛けてくる奴等は減った。
それも無視し続けていたら、俺の周りには誰も寄り付かなくなった。
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