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アーユーマイン?
26

俺、綾瀬咲人の家庭は少しややこしい。

実の父は、俺が生まれてすぐに他界した。俺を生んだ母は、俺に全くの無関心で。父が遺した多額の金で遊びまくり、俺の世話は全て家政婦に頼んだ。

俺が幼稚園に上がったくらいの時かな、母が家に男を連れてきた。母の恋人だという上品な身なりをした男は凄く優しそうな人だったから、俺はすぐに心を開いた。
あのときは何でも真っ直ぐに信じちゃういたいけな子供だったからね。

実際彼はとても優しかった。沢山の玩具を買い与えられ、口癖なのか、毎日毎日、可愛いねと何度も囁かれた。

それに、男と一緒に居るときの母はとても幸せそうで。俺には一切見せないような優しい笑みを男に向ける。曲がりなりにも実の母が、幸せそうにしているのは子供心に嬉しかった。

俺は男を本当の父親のように思っていたし。

毎日幸せだった。あの日までは。

俺がその男に犯されかける日までは。

服を脱がされて、全身舐め回されて、怖くて気持ち悪くて泣くことしか出来なかった。

途中で母が部屋に入って来たとき、俺は助かったと思って、母にすがるような目を向けた。

母は俺に言った。

「何してるのよ!」
「最低、死ねば良いのに!アンタ私の男を誘惑したの!?」
「やっぱりアンタなんか、生まなきゃ良かった!!」

俺は、何も言えなかった。頭が真っ白になって。

その日が、俺のなかで最も最低な日。

今まで俺に無関心だった母はその日から、俺に冷たく当たるようになった。

男を俺に近付けさせようとしない事は良かったけど、それは所詮、俺の為ではなく母が自分自身の為にやったこと。

途中から、俺は親戚の家に回された。
ついに、母に完全に見放されたのだ。



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あきゅろす。
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