アーユーマイン? 3 「綾瀬くん、ばいばいー」 「またね〜」 「咲人じゃあなー、あ、奏太も」 「あ、ってなんだ。ついでか!」 咲人は凄く人気者だ。廊下を歩く度、色々な人に声を掛けられ笑顔をもらっている。俺は完全にオマケみたいな物だ。もう慣れたけどな、これに慣れるってなんか切ないけど。ともかく、咲人はいつでも他人に分け隔て無く優しくて、誰とだってすぐに仲良くなってしまうようなやつ。俺はどちらかと言えば人見知りな方だ、よく愛想がないだとかクールだとか言われるが否定できない。あまり仲良くない人の前では笑顔が引きつってしまう。 (…というか、俺が仲良しと言えるのは咲人と、同じクラスの瑞希くらいしか居ないんだけど) それでいいんだ、俺は浅く広くな付き合いよりも、本当に仲の良い人がほんの少しいれば。とは言いつつ、やっぱ友達が沢山居る咲人が少し羨ましかったりもする。 …ああ、ほらまた可愛い女の子にメアドなんか渡されちゃってさあ。 「…ばーか」 「は?なに奏太、ヤキモチ?」 「うるせ」 「図星ー?可愛いな」 「バカにすんな…でも、あー、俺もあんな可愛い子にアピられてえ」 「…あー、そっちね」 「は?そっちってどっち?」 「…何でもなーい」 咲人は、頭が良いはずなのに、時々意味のわからないことを言う。あ、違うか。俺の頭が悪すぎるから理解出来ないのか? …俺、こいつと出会ってからなんか自虐的な性格になったな。 まあ、何だかんだでいつも通りゆるーい雑談をしながら歩いてるうちに、マックに着いてレジに並ぶ。 「あ、咲人。月見バーガー出てんし」 「うまいよね」 「秋だなー」 「俺月見とーチーズバーガー5つとコーラLとポテトL〜」 「お前食い過ぎ、デブるぞ。てか全部単品で頼むの?あ、俺月見セットでドリンクはジンジャーエール」 チーズバーガー好きだなオイ。なんでこんなに大食いなのにこの素晴らしいスタイルを維持できるんだ。いくら俺より10センチは身長が高くても食べ過ぎだ。 「奏太、そいえば宿題って何」 「ん?数学」 俺の一番大嫌いな。 「まじでか」 「教えてもらうかんな。てことでこのあと俺ん家来る?」 「行きまーす」 「じゃあさっさと食おう」 俺は元ヤンの若い母さんと父さん、最近生意気になってきた妹の4人で住んでいる。妹は咲人にご執心でありまして、普段は俺にウザイだの近寄んなだの言うくせに咲人が家に来たときだけ猫を被る。なんか色々気に食わん。 因みに咲人は地方住みなんだけど寮に入るのが嫌だったらしく、お洒落なマンションに一人暮らししている。流石ボンボンだ。 [*<<][#>>] [戻る] |