アーユーマイン?
2
そのあと、同じクラスだという事がわかった俺と咲人。入学式前のあの一連の出来事…というきっかけも有り咲人は教室で気軽に話し掛けてきて、俺らはいつしか常に一緒に居るようになった。
それから数ヶ月の時が過ぎ、今はもう早、秋。
暇だな、と授業中らしからぬ事を考えながら窓の外を眺める。秋の青い空に我が家の愛犬のような形の雲が浮かんでいるのを見付け、今日も平和だな。とか思い欠伸をひとつ。確かに聞こえているのに、教師の声はまるでわけのわからない呪文かのように耳をすり抜けて行く。
斜め前の席に座る咲人に視線をやれば、相変わらず机に突っ伏して熟睡していた。あんなんでどうして学年トップの成績が取れるのか常々疑問に駆られる。悶々としながら咲人を睨み付けているうちに、今日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。咲人は緩慢な動作で突っ伏していた顔を上げて伸びをするとこちらを向いてヘラリと笑った。
「かなたーん、おはよ〜」
「かなたん言うな。…お前さ…マジ寝過ぎ」
こちらを向いた咲人の綺麗なおでこは案の定赤い痕が付いている。ちょっとざまあみろと思った。
「奏太、帰りどっか寄るー?」
「んー…。今金欠」
「マックおごるよ」
「まじか、行くー。てか宿題教えろ」
「は?宿題なんてあったっけ」
お前寝てたから知らねえんだよ、と軽く突っ込みながら鞄を手に取り教室を後にする、いつもと何ら変わり無い放課後。
この時の俺は、まだ何ひとつ知らないで、咲人の隣でへらへらと笑ってた。
本当、馬鹿。
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