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アーユーマイン?
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―きらきら、眩しい。

蜂蜜色の髪が風に揺れているのを半ば放心状態で見詰めている俺に、彼は柔らかな笑みを惜しげもなく向けてくる。

「ありがと。それ、すごく気に入ってるやつなんだ」

(綺麗。顔も、声音も、これ迄見てきた中で一番…―)

彼がまばたきする度に、ちょっとつり目勝ちな猫目を縁取った長い睫毛が陰を落とす。彼が動く度に、なんだか凄くいい香りがする。

先ほど校門の辺りで拾った丸いシルバーピアスを手渡すと、持ち主である彼はもう一度俺にありがとうと言って微笑んだ。

俺は未だ無表情のまま抑揚の無い声で「別に」と返した。我ながら可愛くないなとはわかっている。しかし目の前の彼は素っ気ない態度の俺に気を悪くした風でも無く声を掛けてくる。

「新入生だよね?」
「うん」
「俺も〜。ね、体育館一緒に行こ」
「…ん」

とくん、とくんといつもより幾分速い気がする鼓動。なんだか、楽しいことが始まる予感。



それは入学式の、20分前の出来事。




体育館に着くと、全クラス混合で出席番号順に座るため、彼とは別れた。座席に置いてある自分のネームプレートを見付けて座り、辺りを見回すと先ほどの彼は大分前の方に居ることがわかる。

(超目立ってる…見付けやすすぎ)

思えば、回りにいる生徒たちも皆チラチラと彼を見ているようだが、彼はそれを気にする様子も無い。多分、注目されるのに慣れてるんだろうな。

退屈な校長の挨拶や偉い人たちの話が終わり、続いては新入生代表の挨拶。一応この学校はこの辺りでも有数の進学校で、その中での首席となればかなりの秀才ということが窺える。

(どんな奴なんだろ)

「新入生代表代表挨拶…綾瀬 咲人」
「…はい」

名前を呼ばれ、返事をして立ち上がった人物に思わず目を奪われた。それは、先ほどの彼だったから。彼がステージに上がると体育館内が若干ざわつき出す。みんな、みんな彼という人間に惹かれているのを感じた。

(あやせ、さきひとって名前なんだ…)

俺は頭の中で彼の名前を反芻した。

違う世界の人。
それが、俺が綾瀬咲人という人間に抱いた第一印象だった。



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