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00-02


私は絶句している不良を指差し、その指で相手の胸を突いた。



「アンタが言ったんじゃない! …あ、間違えた。アンタが言ったんだろ?」



女はチームに入れられないって。


だから男になってきたのだと相手に喝破した。


「お前は究極の阿呆だろ!」


銀髪不良改め、九条 大輝は私を頭ごなしに怒鳴った。

眉根を寄せる私は何が不満なのだと唇を尖らせるけれど、相手は不満も不満だとこめかみに青筋を立てる。
 

ちなみにこの不良男は、ナリこそ不良だけど地元では超有名エリート校に通っているエリート生。

偏差値50ちょいの公立高校に通っている私とは雲泥の差の学力を持っているいけ好かない男だ。


九条は私を睨んで「認めるか!」声音を張った。
 
こんなことをして男になったつもりなのか? と、胸倉を掴んでくる。

片眉根をつり上げる私は相手の右脛を思い切り蹴って反撃。

「ヅッ!」

身悶える九条の手を払い、私は大真面目になったつもりだとそっぽを向く。


「こんのアマァ」


調子付いてるんじゃねえぞ、九条の怒号もなんのその。
私は軽く両手を挙げて舌を出した。


「ちょーしになんか乗っていませんよ九条サン。オレは本気です。
ほっらぁ、ちゃーんと兄貴から学ラン借りてきましたし、髪だってロングからばっさりとショートにしましたよ? 気持ちは男同然デス」


「そ・れ・で、オンナがばれねぇとでも思ってんのか?
だったらドラマの観過ぎだ。さっさと家に帰って寝ろ。寝ちまえ。んでもって失せろ」


「そりゃあバレないとは思っていませんよ?
声変わりは、あー、あー、聴いてのとおり、ちっともできていませんし。胸はBくらいありますし。

でも声は極力喋らなければいい話ですし。
胸は…、Bの胸を頑張ってぺったんこに見せています。
どうです? 気持ちはすっかり男ですよオレ。いいオンナ、近くにいないかなぁー?」


探す素振りを見せる私に、「ありえねぇ」九条が一変してゲンナリと溜息を零す。

ありえない?
ええ、きっとありえないでしょーね、貴方にしてみれば。


でも私は本気も本気。


長年伸ばしてきた大事な髪をバッサリ切り、まだ育まれていると信じたい胸を圧迫、ぺったんこに見せ、学ランを着こなしている。


ついでに髪をアプリコットベージュという私にしては明るいヘアカラーにした。

パッと見はオンナ顔寄りの男不良にしか見えないと思う!


ここまで努力をしているのだから、私の主張を聞き入れてくれてもいいじゃない。


「ねえいいでしょ!」


アンタの舎弟にしてよ!


声音を張る私に、「ヤダね」九条は一昨日きやがれと肩を竦める。


「何よ、アンタ。器のちっちゃい男ね。そういう奴がどーしてチームの副リーダーなんかしているのやら。私だったら、アンタみたいな男について行かないけど?」

「ッ…、言いやがったなテメェ。俺が器の小さい男だと?」


「えーえー、言いましたとも。
だってアンタ。こーんなに努力しているニンゲンをこれっぽっちも認めもせず、寧ろ『ッハ、無理です。帰れ。はい帰れ』で終わらせるんだもの。

そりゃあ、器の小さい男だと思わざるを得ないわ。
アンタの舎弟になれないなら、他を当たろうかしら。小さいことで気にし過ぎよ、このオトコオンナ」


「んなっ?! テメェが雑把過ぎんだよっ! このオンナオトコ!」






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あきゅろす。
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