Parallel 6 「すまなかった。」 「……………。」 思わず目を丸くする。 日下部さんは、オレを見下ろしたまま、言葉を続けた。 「…勝手な想像で、君という子を判断し、失礼な態度をとった。」 ………ああ、これは、もしかしなくとも 謝ってくれているんだよな、と思い至る。 「………………。」 日下部さんが、少しだけ表情を、不安そうなものに変えたのを見ながら、オレはジワジワと込み上げる嬉しさを噛み締める。 少しでも、嫌いじゃなくなってくれると嬉しい。 今じゃなくて、ずっと先でいいから。 オレはその気持ちのまま、ヘラリ、と笑む。 「…っ!!!」 「…………?」 何故か、物凄い勢いで、顔を逸らされた。 ……見苦しかったのだろうか。 オレ、平凡な顔立ちだって自覚はあったけど、不細工だとは思ってなかったんだ。 ……ちょっと認識改めた方がいいのかもしれない。 笑みを引っ込め、すいません、と軽く謝り、再び歩きだす。 しかし日下部さんは、立ち止まったまま。 不思議に思い、振り返ると、口元を右手で覆ったまま、日下部さんは、ギッとオレを睨んだ。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |